【回顧2024】アメリカ大統領選挙の争点「人工妊娠中絶」…中絶クリニックで見えたリアル
中絶の権利を訴え活動するリネットさん 「女性たちから自分自身と家族を守る権利を全く奪ってしまうのは、正当ではないと思うのです。なので私たちはこのようにお話をさせていただいているのです。」 戸別訪問先の男性 「投票はいつですか?」 中絶の権利を訴え活動するリネットさん 「11月5日で、すでに投票券を受け取っていれば投票できます。」 中谷しのぶキャスターが、この男性に話を聞きました。 戸別訪問先の男性 「いま、彼女の説明を聞いて中絶の問題を知りました。娘たちに中絶の選択肢があることには、賛成です。」 中谷しのぶキャスター 「リネットさんたちは、あなたの考えを変えた?」 戸別訪問先の男性 「そうですね 明らかに」 リネットさん 「私は嬉しいです。こんな小さな町でも、ひとりでも考えを変えることができたから。それが変化に繋がるんです。」
■「精神的にもう産めない」中絶クリニックで見たリアル
伝統的価値観と人権。大きく揺れるアメリカで、患者に向き合い続けている小山医師。この日、30代の女性が、薬の服用による中絶を希望し、クリニックにやってきました。 小山医師 「これが一つ目の薬。ホルモンの分泌と妊娠を止めます。お渡しする前に何か質問はありますか?では、手を出して、薬を飲んでください。」 薬を飲むのは、一瞬の出来事でした。女性は2人の子どもを持つ母親でした。 中絶をした女性(30代) 「私には障害のある息子がいて、娘もいて、私は働いています。なので、この子を産むという選択肢はないのです。私は息子と娘を愛しています。2人子どもがいるので、もう十分なのです。だから、このクリニックに来たのです。精神的にも、もう産めません」 薬を服用したあと静かに涙を流した女性。小山医師は、優しく声をかけながら抱きしめました。
小山医師 「私は求められている医療を提供します。なぜなら、理由を問わず、すべての人が中絶を受ける権利があると信じているからです。自分の運命を決定し、子どもを産むかどうかを決定できるのは、基本的な人権だと思います」
■取材後記…住民投票の結果は
11月の大統領選挙では、トランプ前大統領の返り咲きが決まりました。一方、アリゾナ州で同時に行われた中絶の権利を保障すべきかを問う住民投票では、賛成票が過半数となりました。中絶の権利は、引き続き守られることとなったのです。 今回の大統領選でトランプ氏は、争点化を避けるために反対の姿勢を緩めていて、選挙前に自身のSNSでも人工妊娠中絶を連邦レベルで禁止する法案には「拒否権を行使するつもりだ」と投稿していました。大統領就任以降、アメリカで中絶を巡りどのような動きがあるのか、引き続き注目となります。 (ウェークアップ 11月2日放送分を一部加筆・編集)