【回顧2024】アメリカ大統領選挙の争点「人工妊娠中絶」…中絶クリニックで見えたリアル
この判断を受けてアメリカでは、中絶を禁止する州が増え、中絶が禁止、もしくは規制されている州は半分近くに上ります。影響は、この中絶クリニックでも。最高裁が判断を覆して以降、テキサスなどの南部州や中絶が違法になっている州からアリゾナまで中絶するためにやってくるように… 一番遠い人は、南部州からバスに乗ってきた患者もいるということです。
小山医師 「長い間、中絶の権利について議論することはタブーでした。いま多くの人が中絶の権利ついて議論するのは、2年前に最高裁が判断を覆したからだと思います。これによって、中絶が少数派だけでなく、大多数の女性にも影響する問題となったのです。」
■中絶反対派が多い「福音派」の教会を取材すると…
トランプ氏やその支持者が、中絶の権利に否定的な背景には、宗教に基づく価値観があります。 中谷しのぶ ウェークアップキャスター 「住宅街にある教会です。トランプ氏の支持層と重なる福音派の教会で、きょう日曜日は、ミサが開かれています。」 「福音派」とは、キリスト教プロテスタントの一部の宗派で、聖書に忠実な生活を重んじています。アメリカ人口の4分の1を占め、トランプ氏の岩盤支持層といわれています。信者の女性に中谷キャスターが話を聞くと… 信者の女性 「私は中絶に反対です。もともとではなく、若い頃は賛成でした。年齢と共に、また、この教会に通うようになってからこの考えが強くなりました。トランプ氏に投票します。」 教会の牧師にも話を聞きました。
教会の牧師 「いかなる中絶もいけません。なぜなら、命を奪っているからです。そして(モーゼの十戒の)第五戒には、人を殺してはいけないと書かれているからです。私たちは主の言われることに従いたいと思っています。」 聖書には、「ああ、私は咎ある者として生まれ、罪ある者として母は私をみごもりました。」や「人殺しをしてはいけない」という記述があるのです。
■中絶の権利を守るために立ち上がる若者たちも
中絶の権利を守るべく、行動を起こす人々も。アリゾナ州では今回の大統領選挙にあわせて、中絶の権利の是非を問う住民投表が行われました。そのため、若者たちが有権者を戸別訪問し、中絶の権利を保護するよう訴える活動をしていました。