USスチール、日鉄による買収で長期的衰退も 労組トップが懸念
John Geddie [11日 ロイター] - 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長は、日鉄がUSスチールの持続的な成功にコミットしているという確約は受けていないと述べた。 同氏は9日、ロイターに対し、最大の懸念の一つは日鉄が海外の製鉄所から米国に鉄鋼を輸入する可能性だと述べ、そうなればUSスチールの弱体化を招く恐れがあると懸念を示した。 「(日鉄との)話し合いでは、事業が長期的に持続可能だという保証を得られるようなことは何もなかった」とし、「(日鉄が)投資のリターンを求めるのは理解できるが、われわれの製鉄所を取得し、時間とともに徐々に、しかし確実に劣化させ、その後世界各地の製鉄所から製品を持ち込んで米市場にアクセスするということがあってはならない」と述べた。 日鉄はこれまで、海外で生産された鋼片を米国に持ち込むことはないとしているほか、雇用を保護し、将来の成長に重要な米国内の製鉄所に投資すると表明している。 日鉄はマッコール氏の発言についてコメントを控えた。USスチールは日鉄による買収が「唯一の現実的な取引」で、高炉設備への投資拡大につながると述べた。 買収計画を巡っては、現職のバイデン米大統領とトランプ次期大統領の双方が反対し、対米外国投資委員会(CFIUS)による安全保障に関する審査の対象になっている。 ホワイトハウスは10日、バイデン氏が審査結果を待った上で買収を阻止するかどうかを決定すると説明した。