まるで崖に立つ家!? 「庭がほしい!」を建築家が驚きの発想で解決、”縁側”兼”空中庭園”で眺望抜群の住宅に
建築家との家づくりは、理想の住まいを手に入れる最良の方法のひとつ。特に新築の一戸建てでは設計の自由度も高く、こだわりの強い人でも自分に合った住宅を実現することができます。一方で、選択肢が多すぎて、本当に自分の住みたい家にすることができるのか、不安に思う人も多いのではないでしょうか。 擁壁(※)の上から道路に向かって梁を突き出すように立つ、一風変わった外観の住宅に住むご夫妻に、このような設計に至った過程と暮らしぶりをお聞きしました。 ※斜面が崩れるのを防ぐための壁状の構造物
当初の要望を覆した土地選び
自身も建築の仕事に携わっているという前田さん(夫)。以前から新築の一戸建てに住みたいと考えていた前田さん(夫)は、大学時代の同期で建築設計事務所awn所属の建築家、江島史華(えじま・ふみか)さんに住宅の設計を依頼しました。江島さんは、どのような暮らしがしたいのか、3人でイメージをすり合わせることから設計をスタートしたといいます。
建築家の江島史華さん。
「ある程度の広さがほしいということと、各々が好きに過ごしつつも同じ時間を共有していることが感じられるような家にしたい、それから庭と縁側がほしい、といった大まかな要望を最初にお伝えしていました」前田さん(夫)
ただ、江島さんは前田さんからの要望を言葉通りには受け取らなかったといいます。 「設計者としては、こうした具体的に言葉にできる要望の一歩手前の欲求を知りたいんです。人は自分がこれまで経験したことしか言葉にできません。庭や縁側がほしい、という言葉に対して、言葉の通りのものを提供するのではなく、庭と縁側について共に考える時間を持ちました。言葉にされた要望を一度疑ってみることで本当に求めていることにたどり着けるのではないかと思っています」(江島さん)
実際に建った住宅には、庭もなければ縁側もありません。この判断は、土地選びの段階での江島さんからの提案によるものだそうです。 「20カ所ほどの土地の候補をあげていただいたうち、庭のスペースが取れないからという理由で真っ先に除外したのがここでした。ただ、江島さんや不動産屋さんにも同行していただきいくつかの土地を内見した日に、最後にこの土地だけ見てみてほしい、と言われ立ち寄りました。敷地図ではわからなかった眺望の良さに惹かれました。庭や縁側がほしいといっても、これまで庭のある生活をしていたわけでもなく、具体的にそこでなにをしたいのか、改めて考えてみると、限られた予算の中で手に入れられる庭や縁側よりも、この景色の方が価値があると気づかされました」前田さん(夫) 「設計や不動産のプロと一緒に土地を見ることができたのがよかったです。その場でこの土地であればこんな設計が可能、とか、この土地はこういう難点がある、などその土地にどのような住宅が建てられるのか、イメージができました」前田さん(妻)
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