ザ・ラグビーチャンピオンシップを姫野和樹が展望 「勝敗を予想することすら酷」
──BKに関してですが、日本代表は昨年のW杯ではWTBマテオ・カレーラス選手にハットトリック(3トライ)を決められました。 「彼のようなトライゲッターがいるところがチームとして素晴らしいと思います。いかにFWが前に出て、彼らBKに最高のシチュエーションをプレゼントしてあげられるか、というところにかかっていると思います」 ──最後に、前回大会は最下位に終わったオーストラリアについて、まずはその印象からうかがいます。 「ワラビーズも強いですよね。昨年は自分たちのやりたいことが見えておらず全員がバラバラの方向に向かっている印象でしたが、今はキュッと一つにまとまっているように見えます。そこはやはりジョー・シュミット新HCの手腕なのではないでしょうか。以前のワラビーズは個々でプレーしがちな印象でしたが、今はチームとして向上しているように感じます。ラグビー自体はまだ不完全な部分もあるかもしれませんが、伸び代は一番大きいチームだと思っています」 ──オーストラリアは姫野選手にとって特別なチームだと聞きます。 「もちろん僕のファーストキャップの相手だったこともありますが、高校、大学の頃からワラビーズのキャプテンだったFLマイケル・フーパーに憧れていたことも大きいです。彼はつい先日、代表引退を表明しましたが、2021年のワラビーズとの試合後にジャージを交換し、今でもそれを飾っています。ですから僕にとってワラビーズは特別なチームです」 ──続いて注目選手をお願いします。 「FBトム・ライトですね。ランニングやボールのもらい方、ずらし方、どのプレーも素晴らしい選手です。何度か対戦したことがあるのですが、捕まえられそうで捕まえられないんですよね。非常に調子がいいですし、今後もワラビーズを支える選手になると思います」 ──FWはいかがでしょうか? 「FL/No.8ロブ・ヴァレティニは本当にフィジカルが強く、一番タックルしたくない選手です。ヒットしてからの推進力は素晴らしいのですが、同じFWとしてあのような選手を止めなければいけない、という意味でも注目しています。 ──今大会で、姫野選手が特に注目されている対戦カードはどれでしょうか? 「全部いいカードですが、やはり南アフリカvsニュージーランド(第3節・第4節)ですね。かなりタイトなゲームになると思います。昨年のW杯の決勝と同じ組み合わせですし、本当にどちらが勝つかわかりません。勝敗を予想することすら酷です」 ──優勝を予想していただくのも酷なことですが、ぜひお願いします。 「酷ですね(笑)。でも、今年は南アフリカが優勝するような気がします。メンバーもHCも変わっていないですし(ラシー・エラスムスHCは19年W杯までHCを務めた後、昨年まで南アフリカのディレクター・オブ・ラグビーを務め、今年HCに再任)、ニュージーランド、アルゼンチン、オーストラリアは新体制になったばかりでまだ時間が必要そうなので、チームとして何年もの積み上げがある南アフリカがやや有利なのではないかと予想しています」