教員「精神疾患で休職」全国最多の沖縄で本気対策 全国平均の約2倍のなぜ、見えてきた新たな課題
教育現場だけではなく、家庭の協力も必要
このような現状の中で2022年度には全国平均の約2倍、5年間で1.34倍の病気休職者数を出し、16年連続ワースト1位を記録しているのが沖縄県だ。人員不足により2023年度4月の教員未配置は23人にも及んでいて、休職者には40代、50代が多い。 教職員の病気休職者の多い沖縄県は、全国の小6、中3を対象に文科省が毎年実施している全国学力・学習状況調査で、2024年は最下位となっている。 「私は子どもたちの学力と教育職員の病気休職者数の間には、大きな関係があると思っています。子どもたちの学力対策に追われることで教職員はさらに忙しくなり、よりプレッシャーを受けているのではないでしょうか。 また、全国的に増えている不登校児ですが、沖縄県は全国ワースト2位、小学校だけだとワースト1位と非常に深刻な状況です。不登校の子どものケアや対応に追われることも、休職者数の増加と関係していると考えられます」(琉球大学教授 西本裕輝氏) 西本氏は、その根本には沖縄での家庭の教育力が影響しているのではないかと見ている。2021年度の全国学力・学習状況調査の生活調査によると、朝食の摂取、規則正しい就寝・起床、スマホの約束、コロナ禍の休校中の規則正しい生活では、沖縄県はいずれも最下位や40位付近と低い順位だった。 「子どもたちの生活習慣の乱れが大きいと、教職員はその指導にも追われることになります。例えば朝から眠そうにしている、朝からお腹を空かせている子どもへのケアや対応に時間を割かれることで、業務はより逼迫。生活習慣だけでなく学力、不登校などすべての問題が、教職員の休職率とリンクしているのではないでしょうか」(西本氏) 学力テストで上位になることの多い秋田県は生活習慣も整っていて、不登校率も沖縄県の半分、そして教職員の休職者数は沖縄県の3分の1程度だ。各都道府県を見ても子どもたちの学力が高ければ高いほど、不登校率が下がれば下がるほど、教職員の休職者数は下がっているという。 そして、生活習慣がきちんとしている都道府県ほど、同じように教職員の休職者数は低い。文科省や教育機関の努力はもちろんだが、教職員を救うために、今後は家庭の協力も不可欠だと言える。