植物のすべてに愛情を注ぐ園芸界のレジェンド・小黒 晃さんのお庭を訪問【私の植物偏愛記・11月号こぼれ話】
センニンソウ(仙人草)
日本各地の山野に自生する、クレマチスの一種。性質は強く、暖地では常緑性、寒地では落葉性です。 夏に白い小花がびっしりと群れ咲き、遠くからでもよく目立ちます。小鉢で仕立てたものが、園芸店でも流通しています。 写真のように、庭に植えると大きく育つので、毎年スペースに合わせて切り戻しをするとよいと思います。
レンゲショウマ
日本固有の1属1種の植物です。透きとおるような弁(萼片)も美しく、シャンデリアのようであり、ろう細工のようでもあります。蕾のかわいらしさも本種ならではの魅力です。 八ヶ岳周辺ではよく見かけます。木陰で、夏の日ざしを避ければ、栽培は比較的容易です。株の生育はゆっくりで、なかなかふえません。じっくりと気長につき合うのがよいようです。
ダイダイ(サワーオレンジ)
正月の飾り物、縁起物として広く利用されています。実が落ちずに残り続け、「代々続く」ということです。1つの実が何年持つのか試しています。今のところ、3年くらいでしょうか。昨年の実は橙色で大きくなっています。今年の実は緑色でまだ小さいです。 「回青橙」といわれるように、橙色から緑色に変わり、そしてまた橙色になるということですが、この株はまだ橙色のままです。 白い花も美しく、ジャスミンのような香りです。
斑入りミョウガ
ドラセナのようなダイナミックな斑入り葉が魅力。ギボウシなどと組み合わせてもよいものです。丈夫な宿根草で、観賞と食用、両方利用できます。日当たりなどの条件によって、斑の入り方は多少変わります。 ミョウガには夏ミョウガと秋ミョウガがあり、これは10~11月に開花する秋ミョウガです。じつは花も食べられます。さっぱりとした味でくせがなく、蜜の味も合わさって絶妙です。 テキスト9月号の連載「日本一美しい宿根草の牧場ガーデン」でも紹介されていましたね。
宿根草にかぎらず、どの植物もそれぞれにおもしろいものです。気になる植物があったら、ぜひご自分でも育ててみてください。 小黒 晃(おぐろ・あきら) 園芸研究家。山梨県北杜市の種苗会社で500種類以上が植栽された宿根草ガーデンの管理を担当していた。現在は園芸誌や書籍でさまざまな植物の魅力や育て方を伝えている。各地で講演会なども行っている。趣味は山歩き、園芸店巡り。 ●『趣味の園芸』連載 「私の植物偏愛記」 本誌で活躍する講師のみなさんに、「愛好家」としてのお話を聞いていきます。「こんな植物が好きだったのか」と意外な側面を発見しつつ、植物に対する熱い思いもたっぷり教えてもらいましょう。 11月号掲載・第8回では、小黒さんにアガパンサスについてお話を伺いました。