ラブソングは間接的かつカジュアルに? いしわたり淳治が感じた時代の変化、キッチンのCMソングから考える
自分のことを棚に上げる。その「棚」とは?
11月19日放送のフジテレビ『神アドバイザー付き婚活合宿 セ婚ド!』でのこと。婚活が思うように進まない男女にカリスマ婚活アドバイザーたちが熱血指導していた。 番組参加者のある女性は、今まで街コンやマッチングアプリで300人ほど会ってきたが、どれだけ頑張っても理想の相手に出会えないのだという。その話を静かに聞いていた“婚活界の瞬間接着剤”の異名を持つアドバイザー荒木直美さんが突然、「あなたのセールスポイントは何?」と尋ねた。女性は驚いた様子で「私のセールスポイントですか……? まあ……一人で生きてきたという自信は……あるかなあ? とは……思います」と言葉に詰まりながら答えた。「じゃあ、あなたが相手に出している理想の条件が、ブーメランになって帰って来た時にどう? ちょっと甘くない? 自分のことは棚に上げて、結婚したい相手にばっかり条件を突きつけてるから、うまくいかないんじゃない? 棚に上げるんじゃなく、棚卸しの方が先だと思う。自分の魅力の棚卸し!」と言った。 そのやりとりを見ていて、なるほどさすがは婚活のプロ。いいことを言うなあと思った。そしてふと、自分のことを棚に上げる時のその「棚」というのはどんな形なのだろうと考えた。 「棚に上げる」というくらいだからきっと、自分の目線より高いところに収納があるタイプだろう。でも、そんな高い棚に繊細な“ガラスの自分らしさ”なんて脆(もろ)いものを、ちょこんと置いただけでは、地震が来た時(自信が揺らいだ時)など危なくて仕方がない。だから、きっと「自分のことを棚に上げる」時の棚は扉がついているタイプなのではないだろうか。でも、どうだろう。ただでさえ、目線より高い場所にあるのに、さらに扉で隠してしまっては、その自分らしさはすぐに存在自体を忘れてしまいかねない。 アドバイザーの方が言ったように、もちろんたまに棚卸しをするのも良いと思うけれど、普段から「自分のことを低い棚に飾って暮らす」ことなんじゃないかと思う。いつも目につくところに飾ってみて、「んー、なんか違うなあ。ちょっとダサいんだよなあ」という具合に“自分らしさ”をちょっとずつ修正し続けて、どんなに急な来客があっても、慌てて仕舞(しま)うことなく、ずっと飾ったままでも恥ずかしくないくらいになったら、その“自分らしさ”って最高なんじゃないか、と思った。