イオンモールは「脅威」 警戒感を強める長野市の商業界 よぎるのは百貨店とパルコが閉店決定の松本市
須坂市で来年秋に開業予定の大型商業施設「イオンモール須坂」を巡り、長野市内の商店会や長野商工会議所など6団体が9日、市内の商業者を支援する経済対策を求める要望書を、長野市に提出した。約1年後に迫ったイオンの開業に伴い、市内への客足の減少や労働人口流出などが予想され、「脅威だ」などと一様に警戒感を強めている。 【地図】イオンモール須坂の建設予定地
市内の経済団体や商店会は、イオンとの共存共栄策を模索している。松本市では2017年にイオンモール松本が開業した後、松本パルコや百貨店の井上本店が閉店を決定した。こうした他自治体を視察する中で、長野市に支援を要望することを決めた。
要望書は、「キャッシュレス決済還元などによる早急な経済対策」や、イオン開業以降の「継続的な経済対策」などを求めている。雇用支援策について「検討し速やかな実施を」としている。
長野商店会連合会の塚田篤雄会長が、荻原健司市長に要望書を手渡した。同席した篠ノ井商店会連合会の青木勝雄会長は、「平日客を取られたら死活問題となる」と強調。松代商店会連合会の島田俊仁会長は「松代は高齢者が多い。商店がなくなると買い物弱者を生む」などと訴えた。
こうした意見や要望に対し市長は、「厳しい経済環境の中で、大型商業施設ができることへの心配はごもっともだ。しっかりと連携した取り組みを進めたい」と述べた。
要望後の取材に、長野駅周辺の商店会でつくる善光寺口商店会の原山明彦会長は、ながの東急百貨店や駅ビル「MIDORI長野」などに「(影響する)心配があって対策をお願いした」。
塚田会長は「イオンに行った客が長野市に回遊するのが一番の共存共栄になる」と主張。対策について「行政が本当に一生懸命にならないと進まない」と指摘、「イオンは脅威。共に対応を考えていきたい」と話していた。