100回目の早明戦を前に両校監督に聞く(上) 現代ラグビーの中で「タテの明治、ヨコの早稲田」のDNAは?
20~30年で大きく変わったトレーニング法・戦術
―お二人が現役だった頃と現在の違いは。ラグビーの戦術、選手の気質、ラグビーを取り巻く環境などなんでも。 神鳥 それはすごく感じます。私で30年ぐらい学生と年代違いますから。まず体作りや準備のところ。練習終わった後の身体のケアとか、食べるもの、ウェートトレーニングの仕方、回数、練習時間、どれを取っても、競技に向き合う時間と割合が、我々の頃よりも格段に上がっている。 体つきも我々のころとは全然違って、食べ物もすごく気を使ってるでしょうし。そういう選手たちがラグビーをしているわけなので、当然競技力も上がってきますよね。ラグビーそのものが、2015年の日本代表の成功によって、学生選手たちもいずれは日本代表やプロでやりたいっていう選手たちも増えてきて、そういった意識の違いっていうのはあると思います。 (戦術も)変わりました。アタックであれば、グループでしっかりとボールを動かす。ディフェンスのシステムのレベルも上がって、戦術は日々アップデートされている。なので選手も戦術の理解力が求められてきてます。「体を大きくしてりゃあいい」「プロップは飯食ってスクラム組んでりゃいいんだ」って言われた時代とは違う。どのポジションにおいても本当に色んなことが求められる時代です。 体の中に筋肉が詰まってるっていう感じの選手が増えてきました。プロテインは飲む時間まで指導されて。プロテイン自体の味もおいしくなってるんで、選手もどんどん飲みやすくなって。我々の時代はもうめちゃくちゃまずくって、買ったけどずっと飲まないでいてコーチに怒られるとか。どんどん選手が成長する手助け、環境、情報、選手のマインドも、全てかみ合いながら、競技性がすごく向上しています。 大田尾 今のラグビーはもう、鍛えられるところは全部鍛えるというか、アスリートとして極限まで追い込んでいるんじゃないかなと思うんですよね、大学生を。環境としては非常にプロに近いようなアプローチをして、選手を育ててるっていう印象がありますね。そこは大きく変わってるかなと思います。 ラグビー戦術に関しても、明治さんも、うちもそうですけど、リーグワン出身のコーチがいて、その時の最先端なものを入れているので、そこもかなり大きく違ってきてる。昔は主体性という自分たちで考えたものだったんですけど、今はやはり世界で流行しているものが自分たちにマッチすると思うと、それが入ってきますので、環境はどんどんプロ化してるかなと思いますね。 選手の気質に関しては、その時どきかな、と思う。学年によっても全然違います。例えば学生全員が答え待ちとか、全員が失敗するのを嫌う(気質)とかではない気がして、やはり個性がまだ生きているなと思います。その中でも、真面目な選手が増えたと思います。
西田哲