「お金はあの世に持っていけないのに…」「お金を貯め込みすぎた高齢者」の超せつない末路「そんなに貯めてどうするの?」の高齢者が多すぎる現実
結婚しても子どもをもたない夫婦、いわゆる「おふたりさま」が増えている。 共働きが多く経済的に豊か、仲よし夫婦が多いなどのメリットはあるものの、一方で「老後に頼れる子どもがいない」という不安や心配がある。 そんな「おふたりさまの老後」の盲点を明らかにし、不安や心配ごとをクリアしようと上梓されたのが『「おふたりさまの老後」は準備が10割』だ。 【話題の書籍】「この1冊読めば、老後がずっと安心」と好評の6刷突破のベストセラー『「おふたりさまの老後」は準備が10割』 著者は「相続と供養に精通する終活の専門家」として多くの人の終活サポートを経験してきた松尾拓也氏。北海道で墓石店を営むかたわら、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、家族信託専門士、相続診断士など、さまざまな資格をもつ。
その松尾氏が、お金を溜め込みすぎる高齢者について解説する。 ■「お金を残しすぎる高齢者たち」の問題 2019年頃、「老後2000万円問題」という言葉が話題となりました。 これは金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書による「老後30年間で約2000万円の金融資産が不足する可能性がある(平均的な高齢夫婦の場合)」という指摘です。 では、実際はどうでしょうか。 総務省の「家計調査(貯蓄・負債編)」(2023年)によれば、60~69歳の平均貯蓄額は2432万円、70歳以上では2503万円となっています(2人以上の世帯)。
平均だけを見れば、十分クリアしていることになりますね。 しかし、あくまでもこれは平均値です。 実際には「貯蓄ゼロ」の世帯もあれば、5000万円オーバーから億単位のお金を持っている方もいます。 もちろん、お金がなさすぎるのは不安なものですが、実際には年金+α(少々の貯蓄)でも、意外に暮らしていけているという人が多いのも現状です。 「なければないで、なんとかなる」という考え方もあるのです。 むしろ私が問題だと思うのは「お金を残しすぎる高齢者たち」の問題です。
私は「終活の専門家」として、日々多くの人たちから老後のお金の相談を受けています。 そこで強く感じるのは、「お金を貯め込みすぎている人がとても多い」ということです。 ■年をとるほど、お金はいらなくなる 年金で足りない分を補うために、2000万円程度を目指して貯蓄するのであればいいのです。 しかし、とうてい使いきれないほどの金融資産を抱えたまま老後に突入し、ほとんど手つかずのまま亡くなっていく人のなんと多いことか。