上野樹里「涙が溢れそうになりました」ニュージーランドの“森の神”を訪ねて感じたこと[FRaU]
「この国に豊富にあったカウリの森が、ものすごいスピードで消滅していったことを知りました。かつてはマオリの人々がカウリの木を使って、立派な集会場や航海のためのカヌー、伝統工芸の彫刻を作っていた。そうやってマオリの文化は形成されてきた。一方で、入植によって、さまざまな環境が変わってしまった。もちろん土地の発展のために良い面もあったとは思います。2つの民族が一つの国を築くことになったワイタンギ条約締結の地を訪れて、今現在、両者はいがみ合っているわけではないけれど、カウリのことを考えると、やはり複雑な気持ちになります」
近年、カウリは「カウリ・ダイバック」という病によって、さらなる危険にさらされている。感染力が強く、病に感染している木の近くを通った人や動物を通して、さらに感染が広がってしまうという。
「ワイポウアの森では、立ち入り禁止になってしまった場所もあると聞きました。今、カウリはマオリだけでなくニュージーランド全体で守ろうとしている。その取り組みや背景を知ることで、もっと木を守りたい気持ちになりました。『木や森を守ろう』とは言葉では簡単だけど、実際には何をしていいかわからないことが多い。」
「でもシンプルに、自分の目で見て、近くで木を『感じる』ことが大事なのかなと。大切にしたいと思う気持ちの積み重ねが、環境を守ることにつながるのではと、そんなふうに思いました」
Waitangi Treaty Grounds(ワイタンギ・トリティ・グラウンド) 住所:Tau Henare Drive, Waitangi 0293 開館:9:00~17: 00、9:00~18:00(夏期) 無休(クリスマスを除く) ●情報は、FRaU2024年8月号発売時点のものです。