上野樹里「涙が溢れそうになりました」ニュージーランドの“森の神”を訪ねて感じたこと[FRaU]
Waipoua Kauri Forest(ワイポウア・カウリ森林保護区) Waipoua Kauri Forest,Northland, New Zealand The Kauri Museum(カウリ博物館) 住所:5 Church Road, Matakohe 0593,New Zealand 開館:9:00~17:00 無休(クリスマスを除く)
消滅していったカウリの森。 守るためにすべきことを考える
ワイポウアの森を後にして、カウリとともにあったマオリに触れ、その歴史をもっと深く知りたくなったと上野さん。次に向かったのは、ワイタンギ条約が締結された地として知られる『ワイタンギ・トリティ・グラウンド』。 写真:ベストのように着たドレス¥121000(バウト/ボウト) ノースリーブカットソー¥10450(ニコラ ジェンソン/リノウン) パンツ¥39600(ギャルリー・ヴィー/ギャルリー・ヴィー 丸の内店) ツーフィンガーリング¥40700(リューク/リューク) その他(スタイリスト私物)
ワイタンギ条約とは、ニュージーランド初の条約として、1840年、英国の君主とマオリの間で締結された条約だ。同条約締結を機に、ニュージーランドは英国領となるが、マオリが有する土地や文化の継承は約束された。一方でこの条約には、締結以来、その解釈について今なお多くの問題が残されている。当時の英語版とマオリ語版の条文は、法制定の経験の浅い、もしくは全くない人々によって作成された翻訳だったことから、両者の間では解釈が異なることがあり、その論争は現代においても続いている。
9世紀から10世紀頃、ニュージーランドの地に初めてたどり着いたのは、北のポリネシアからカヌーでやってきたマオリの人々と伝わる。彼らはカウリの木で生活に必要なものだけを作っていた。だが、18世紀末頃から、ヨーロッパ人が入植してきたことで、森林は次第に開発されていく。カウリは伐採され、羊や牛が放たれ、牧草地と化した。かつてニュージーランド北島には120万ヘクタールのカウリの森が広がっていたが、18世紀末から20世紀前半にかけて大量に伐採されたことで、今では7500ヘクタールまで大幅に減少。現在の分布は、ニュージーランドの北島北岸のコロマンデル半島、オークランド西のワイタケレ地域、ワイポウアとその周辺の森のみとなってしまった。