同性カップルの住民票、事実婚表記広がるも…健康保険の被扶養者手続きできず「どこまでも異性婚と別物扱い」
こうした現状を踏まえ、松浦さんは「自分たちの記載がいつ取り消されないか不安もある。どこまでいっても異性婚とは異なる別物として扱われていることに納得がいかない」と訴える。
このような思いから、同性婚を認めない民法と戸籍法の規定は憲法違反として、同性カップルが国を訴えた訴訟の動きには期待を寄せる。2人は福岡高裁でのこれまでの審理を傍聴し、表に立って国側と対峙する原告らには「本当に感謝している」と頭を下げる。「好きな人と結婚し、健康保険の被扶養者などとして社会保障を受けるといった権利が認められることにつながる判決を出してほしい」と語る。同高裁判決が言い渡される13日も裁判所に駆けつける予定だ。
「同性婚訴訟」福岡高裁で13日判決…札幌と東京は「違憲」と判断
同性婚を認めない民法と戸籍法の規定は憲法違反だとして、同性カップルらが国に損害賠償を求める訴訟を巡っては、2019年以降に全国5地裁で計6件起こされ、地裁段階では違憲が2件、違憲状態が3件、合憲が1件と判断が割れた。高裁判決は今年、札幌と東京で計2件出ており、ともに違憲と判断している。
今年3月の札幌高裁判決は「婚姻は両性の合意のみに基づく」と規定する憲法24条1項について、同性間についても婚姻の自由を保障しているなどと判断。10月の東京高裁判決も、「法の下の平等」を保障する14条1項などに違反するとした。高裁段階では3件目の判決となる福岡訴訟は、熊本市と福岡市の同性カップル3組6人が19~21年に起こした。昨年6月の1審・福岡地裁判決は、「自ら選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない」として、個人の尊厳と両性の平等に立脚した婚姻や家族に関する法律の制定を求める24条2項に違反する状態と判断している。
原告でいずれも福岡市の会社員のこうすけさん(35)(姓と漢字表記は非公表)とまさひろさん(37)(同)は13日に言い渡される福岡高裁判決について「他の高裁と同様に違憲と言い切って、国会に早く同性婚を認める法制化に向けて動きなさいと言ってほしい。本当の家族になりたいという思いを受け止めた判断が出ることを期待している」と話す。