中国企業の南米「リチウム資源投資」ブームに変調 供給過剰で採算見込めず、撤退や延期が相次ぐ
その見返りとして、BYDはリン酸鉄系リチウムイオン電池の正極材料の工場をチリに建設することを約束した。しかし財新記者の取材によれば、この工場の建設は目下ストップしている。 ■厳しい気候や環境規制も壁に リチウムの生産方法には、塩湖のかん水から抽出する方法とリチア雲母などの鉱石から分離精製する方法の主に2つがあり、生産コストは前者のほうが低い。南アメリカのチリ、アルゼンチン、ボリビアの3カ国の国境地帯にはリチウムの含有率が高い塩湖が集中しており、「リチウムトライアングル」と呼ばれている。
だが、現実の資源開発は容易ではない。リチウムトライアングルは気候が厳しい内陸部の高地にあり、(リチウムの抽出に必要な)淡水資源の不足に加えて生活や交通のインフラも未整備だ。環境規制のハードルも高く、プロジェクトを前進させるには高い技術力と経験豊富な人材確保が欠かせない。 「中国企業は投資のタイミングや(資金回収までの)サイクルをもっとしっかり見極めるべきだ。ブームに踊って高値掴みするパターンを繰り返してはならない」。南アメリカの投資事情に詳しいある専門家は、そう警鐘を鳴らす。
(財新記者:廬羽桐) ※原文の配信は11月8日
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