「丸亀製麺」の野望と新戦略!北九州「資さん」が関東に進出!
粟田さんに世界戦略を託された杉山さんは、アメリカでMBAを取得後、大手コンサルティング会社に就職。数々のM&Aを手掛けてきた手腕を買われ、5年前、トリドールに入社した。 2022年には、買収した香港のライスヌードルチェーン「タムジャイサムゴー」を都内にオープン。さらに今年、日本からラーメンや焼肉丼の業態を中国・上海へ出店することに成功した。
5月。杉山さんは、次なる目的、タイ・バンコクへ。「タイの市場はアジアの巨大な市場を攻めていく上で非常に重要なマーケット」と話し、市内にある料理学校に向かう。 この日は、傘下ブランドの看板商品「丸亀製麺」のうどん、「ラー麺 ずんどう屋」のとんこつラーメン、「モンスターカレー」のカレーライスを日本と同じ味付けで調理し、一般の人たちに試食してもらうことに。試食後は、杉山さんが依頼した調査員が「食材のバランスは?」など、細かく聞き取り調査する。こうした調査を合計300人に行うと、速報値では、うどんの人気が高かった。 実はトリドールの海外進出は、成功と失敗の歴史でもあった。かつては韓国やケニアにも展開。タイにも一度進出したが、コロナの影響もあり、2020年に業績不振で撤退している。 失敗できない2度目の挑戦…万全を期して、市場調査は巨大企業「CPグループ」とタッグを組んで行っていた。 「CPグループ」は、タイ国内で「セブン-イレブン」を約1万5000店運営する最大の財閥。農業、食品、通信、自動車まで幅広い事業を手がけ、総売り上げは約14兆円に上る。 「CPグループ」の食品部門と手を組めば、タイだけではなく、アジアへの大きな足がかりとなるのだ。
帰国後、トリドール本社に、海外の担当者から3つのメニューの見た目や味の感想など300人分の分析結果が伝えられた。最も評価が高かったのは「丸亀製麺」で、75パーセントの人が「来店したい」と回答。粟田さんは「『丸亀製麺』で先行を走って、次は『モンスターカレー』でタイの国中を攻める。早いスタートを切りたい」と決断した。