日光で巡りたい、美しい新旧名建築 5
国際的な観光地として人気の日光には、レトロな雰囲気を感じられる建築が多数存在する。本記事では、100年以上前に建てられた「JR 日光線・日光駅」を筆頭に、日本最古のリゾートホテルである「日光金谷ホテル」やアントニン・レーモンドが設計した別荘など、建築好きには堪らないスポットをピックアップ。
JR 日光線・日光駅
日光の玄関口として、降り立つ人々をまず驚かせるのが「JR 日光線・日光駅」。日本国内では貴重な木造2階建ての駅舎で、ハーフティンバー様式が用いられたネオ・ルネッサンス建築が特徴。白とピンクを基調とした色合いや左右対称の造形から、「白い貴婦人」とも呼ばれている。 この駅舎が建てられたのは、1912年(大正元年)で100年以上も前。初代の駅は質素な平屋建てで、こちらは2代目。長らく設計者は不明だったが、地元の郷土史家の研究で、当時の鉄道院技手の明石虎雄が設計したという説が有力となっている。
この歴史的な建築を残すべく、近年では2度のリニューアル工事が行われた。2009年のリニューアルでは、内装工事をメインとし、大正レトロを感じさせる空間に、2016年には老朽化対策を主な目的にした大規模改装が行われ、より安全で使いやすくなった。 写真は、2階の「ホワイトルーム」と名付けられた多目的ホールのシャンデリア。当時は一等旅客専用の待合室として利用されていたが、現在は写真展やイベントなどが開催されている。天井のシャンデリアを支えるレリーフは建設当時のもので100年以上の歴史がある。 改装を重ねながらも、大正期に建てられたこの歴史的な建築が大切に残され、さらなる魅力を増していることがよくわかる。久しぶりに日光に訪れた人は、その変化を感じてみてはいかがだろうか。
日光金谷ホテル
1873年(明治6年)に創業した「日光金谷ホテル」は、 現存する日本最古のリゾートホテルだ。長きにわたり様々な増改築を経て、現在は本館・新館・別館・第2新館で構成されており、その歴史的価値から、各館は国の登録有形文化財に登録されている。 日本の建築と西洋のクラシックが融合した独自の空間に踏み入れると、今が令和の時代であることを忘れさせる。