手がかからない「いい子」に見えるが、周りの空気を読みすぎて心が疲れている…子どもの「過剰適応」とは?
つらさを内面に抱え込みやすい子は、うつ病や不安症など心の病になることも決して少なくありません。できるだけ早いうちに子どもの様子に気づき、その子に合った対応をすることが大切です。 過剰適応の子どもによく見られるケースとして、園や学校では、「目立つのを恐れて発言しない」「常に周囲の話題を気にして、話を合わせる」「ウケねらいでひょうきんな子を演じる」などがあります。また、家では「親の顔色や言葉の調子をうかがう」「ほしくないプレゼントにも喜ぶ」「新しいことや失敗を必要以上にこわがる」などがあげられます(「子どもの過剰適応/早期発見チェックリスト」の詳細は別表参照) 子どものもともとの性格にもよるので、いくつ当てはまったから「過剰適応」の恐れがあるとは一概に言えません。ただ当てはまる項目が多かった場合は、日ごろから子どもの様子をよく観察し、親自身が言動に気をつけるなど心がけてみましょう。 次は「過剰適応」を放っておくとどのような問題が生じるか、親ができることなどについて、くわしくお話しします。 <後編>「周りに合わせすぎてストレスを抱える子どもの「過剰適応」 10歳までに心がけたい、5つの対処法とは【医師が解説】」に続く (取材・文/肥後紀子) ○古荘純一(ふるしょう・じゅんいち)/青山学院大学教育人間科学部教育学科教授。小児科医、小児精神科医、医学博士。小児精神医学、小児神経学、てんかん学などが専門。発達障害や自己肯定感、不登校、引きこもり、虐待などの研究を続けながら、教職・保育士などへの講演も。小児の心の病気から心理、支援まで幅広い見識を持つ。主な著書に『自己肯定感で子どもが伸びる――12歳までの心と脳の育て方』(ダイヤモンド社)、『空気を読みすぎる子どもたち』(講談社)など。
肥後紀子