手がかからない「いい子」に見えるが、周りの空気を読みすぎて心が疲れている…子どもの「過剰適応」とは?
また幼いころからいくつもの習い事に通い、小学校中学年になると中学受験の勉強を始める子もいます。多忙なスケジュールに「たまには休みたい」と思っても、親の期待に応えようとがんばり続けます。ネットを通じてのやりとりが当たり前になった現在、いつでも適応しようとして過剰適応の子が増えているように思います。 ■コロナ禍を経て「過剰適応」の子どもは増加傾向 「過剰適応」の原因はさまざまです。例えば、学校などの「集団生活」の場では、目立ちすぎるといじめや攻撃の対象になるリスクがあります。そこで、集団の中で浮かないようにするために、自分の気持ちや言動を制限して、過剰に周囲に合わせてしまうのです。 また、コロナ禍を経て「過剰適応」の子どもは増加傾向にあります。子どもでもインターネット経由でやり取りをする機会が多くなりましたが、画面越しのコミュニケーションは、対面に比べて相手の気持ちがわかりにくくなる傾向があります。そのため、より空気を読もうとしてしまうのです。 そして、子どもが「過剰適応」になってしまう原因は「親」であることも多いのです。子どもは親の視線や期待にとても敏感です。無理をしてでも親の「こんな子に育ってほしい」という期待に応えようとして、その結果「過剰適応」に陥ってしまいます。 しかし、親自身は自分たちが原因になっていることになかなか気づけません。外からは特に問題がなさそうに見える場合が多く、親自身も子どもに無理をさせている自覚がないからです。私のもとに相談に来られる親御さんでも、「子どもには自由にさせている」という人がよくいます。しかし、実は「親がイメージする範囲の自由」に限られていて、子どもはその空気を読んで合わせているというケースが非常に多いと感じます。 ■「過剰適応」は自己肯定感を下げてしまう 幼いころから自分の意見や希望を抑え続けてばかりいると、自分の気持ちより「空気」が大切だと考え、自己を見失い、自分は大切な存在だと思える「自己肯定感」が育たなくなります。自己肯定感が低いと、自信や安心感を失い、不安や抑うつ状態になりやすくなります。