「学童がないから、働けない」どう防ぐ? 日本一小さな村の''保育料ゼロ''学童
日本一小さな村で「保育料ゼロ」の学童が生まれたワケ
そんな中、富山県には新しいやり方で学童保育の運営に挑戦している施設があります。その場所は、北陸で唯一の村である「富山県舟橋村(ふなはしむら)」。面積は東京ディズニーランド7個分という全国最小の自治体ですが、人口増加率が24.2%で全国第2位(平成17年度国勢調査)になるなど、近年町全体が盛り上がりをみせています。 そんな村で2023年に誕生したのが、保育料ゼロの学童保育施設「fork toyama(フォーク・トヤマ)」です。fork toyamaでは「子育てをみんなのものに」というコンセプトで、子育て世帯の「働く」と「育てる」の両立をサポートしています。このユニークな施設の運営方法について、 fork toyamaの生みの親であり、代表の岡山さんに話を聞いてみることにしました。
岡山史興 1984年長崎県生まれ。高校時代に高校生平和大使に選出され、ローマ法王に謁見。「高校生1万人署名活動」の立ち上げに参加する。企業・地域のPR/ブランド支援などに取り組む代表取締役として、「次の70年に何をのこす?」をコンセプトにしたウェブメディア「70seeds」の編集長も務める。2022年7月に学童保育施設〈fork toyama〉をスタートさせる。
── 岡山さんが「fork toyama」を立ち上げることになったきっかけは何だったのでしょうか? 岡山 僕は長崎県出身で、もともと富山県には縁もゆかりもありませんでした。ただ、自社で運営していたウェブメディア「70seeds」で、2017年に当時の舟橋村の村長に取材する機会があったんです。舟橋村は昭和・平成の市町村合併ブームのなか、「合併すると、学校の統廃合で子どもたちが遠くまで通わなきゃいけないのはかわいそう」という理由で村を守ることを選んだ経緯があるんですね。 そんな村長の想いに共感したことと、クラウドファンディングで子どもたち自ら公園をつくるといった挑戦を後押しする村の姿勢に惹かれ、2018年から東京と舟橋村の二拠点生活をはじめました。そして移住後、子どもが小学校に上がるタイミングで「小1の壁」に直面したんです。 ── まさに自ら学童保育の問題に直面したんですね。 岡山 小学校進学前年の秋に突然、村が学童保育の直営をやめる決定を下したことで、自分の子どもを安心して通わせられる学童がなくなる状況になってしまい。「だったら自分で学童を始めよう!」と思ったのが最初です。