「学童がないから、働けない」どう防ぐ? 日本一小さな村の''保育料ゼロ''学童
── ないのなら作ろうと。すごい行動力! 岡山 自分自身も周りの保護者さんも、村に学童があるほうが働きやすいのは間違いないですし、失敗しても、死ぬわけじゃないと思って(笑)。それで学童について勉強していると、学童不足は深刻な社会問題だと気付いたんです。 子どもがいる親世代が働くことで社会経済は回っているのに、その親が学童不足を理由に仕事を辞めることは大きな経済損失です。また、学童施設が十分ではない地方では、子育て世代が住みづらく、ますます人口が地方から都会へ流失してしまう恐れもあります。 子育ての問題は、子どもを持たない人にとっては自分ごととして捉えるのは難しいかもしれません。でも、子どもを育てるのは「未来の日本を支えること」です。そこで「学童不足は社会全体の問題なんだから、みんなで子どもの面倒を見たらいいのでは?」と、保育料ゼロの、みんなで学童を支える「みん営」という仕組みを思いつきました。 ── どのようにして「保育料ゼロ」を実現させているのでしょうか? 岡山 fork toyamaの設備費や人件費などの運営費用は、活動に共感する個人や法人からの資金と、同じ敷地内にあるカフェやコワーキングスペース(2024年7月から運用開始)の収益で成り立っています。また、今年から自治体の認可が取れたため、行政からの補助金も加わりました。 現在、fork toyamaには1日平均30名強の子どもたちが通っているのですが、保護者には日々のおやつ代のみを支払ってもらっています。
── 実際にオープンしてみて、地域住民の反応はいかがでしたか? 岡山 保護者の方からは「学童があるおかげで安心して働き続けられる」という声をいただいています。とある方が以前いた自治体では、パートよりもフルタイムの子どもが優先されて学童に入れなかったそうなんですね。だけど、認可外でスタートしたfork toyamaではどんな家庭でも受け入れることを意識して運営を始めました。 子どもが原因で親が働くことが制限されるのは、大人にとっても子どもにとってもよくないじゃないですか。それに、人口の少ない地域でも、学童が一つしかない状態より、複数から通わせたい学童を選べる選択肢があったほうがいい。「選択肢を増やしたい」というのも、fork toyamaを立ち上げた大きな理由でした。