「学童がないから、働けない」どう防ぐ? 日本一小さな村の''保育料ゼロ''学童
岡山 また、地域の方からは「fork toyamaは舟橋村の魅力のひとつ」と温かく受け入れてもらっています。fork toyamaの物件には、もともと大学教授の方が住んでいて、その家を使って地域の子どもたちを100人近く集めて学習塾を開いていたというストーリーがあるんです。そんな地域の人に馴染み深い場所が空き家になっていたのを、「村の子どものためなら」と今は東京に住んでいる大家さんから貸してもらえることになりました。 昔から地域にとって馴染み深い場所なので、近隣の方が自主的に草刈りを行ってくれたり、ふらっと庭にある木に柿を取りに来たりするのが面白いんですよね(笑)。カフェでは子どもたちが考案した期間限定のドリンクメニューを提供することもあるのですが、それを目当てに来る人もいて。fork toyamaは子どもたちが地域の人と交流できる場所になりつつあると感じています。
子どもから「こんな大人になりたい」と思われるような姿でありたい
── 学童を「みん営化」して感じた難しさはありますか? 岡山 やっぱり、資金面は大きいですね。2024年度は昨年度と比べて子どもの数が20名ほど増えたので、その分、施設の電気代や水道料金、新しいスタッフの人件費も増えます。通いたいと言ってくださる人が増えるのはとても嬉しい反面、子どもが増えるほど、運営コストも上がってしまうジレンマを感じています。 また、まだスタートして3年目の学童なので、教育方針も日々アップデートしているところです。子ども同士のトラブルがあった時、どのように接していくのがベストなのか?など、スタッフのみなさんと一緒に議論していますね。
岡山 課題は山積みなのですが、学童にはいろんな可能性があると感じています。例えば、fork toyamaを企業の人材育成の研修に役立てられないかと思っているんです。
── どのような研修を? 岡山 実は僕自身、子どもがあまり得意じゃないのですが、日々多くの子どもたちと接していると、学ぶことが本当に多くて。子どもって、すごく大人を見ているんですよね。子どもと接するとき、大人が少しでもコントロールしようとすると、子どもはそれを見抜いて反発します。 だから子どもと話す時は、相手を一人の人間として、ちゃんとリスペクトする姿勢を大切にしています。そんな風に、どんな職種の人でも、子どもと接することはすごくいいコミュニケーションの練習になると思うんです。