寿命は鉛蓄電池の4倍…エナジーウィズが提案開始、「ニッケル亜鉛電池」の性能
エナジーウィズ(東京都千代田区、吉田誠人社長)は、鉛蓄電池の約4倍の寿命性能を持つニッケル亜鉛電池の提案を始めた。既に工場内の無人搬送車(AGV)用途として顧客に提供し、電池性能試験を開始した。事業拡大に向け、同電池のマーケティングなどを担う専門部署を4月に設立済み。2027年の発売に向け、自動車のエンジン始動用や補機用といった当初想定した用途のほか、展示会などを通じて新たな使い道も探る。 ニッケル亜鉛電池は水系アルカリ電解液を用いた安全性の高い二次電池で、エネルギー密度が高いのが特徴。水系電解液のため化学反応時に水素が発生せず、発火の危険性が低い。電解液をセル内で含浸させており、電解液の量を少なくでき、電池の軽量化にもつながる。 同電池は正極にニッケル、負極には安価で豊富な資源である亜鉛を用いる。エナジーウィズは新たなセパレーター技術や電解液の添加剤、負極バインダーを選定し、寿命性能を改善。40度C軽負荷寿命試験において、寿命性能は鉛蓄電池の約4倍を示したという。 同社は4月1日付で「新事業統括部電動システム事業推進グループ」を設置。ニッケル亜鉛電池の開発と用途開拓を並行して行える体制を構築した。自動車や産業分野に関連する電動システム用途を中心に事業化を進める。同グループを軸に、展示会などで積極提案し、市場の反応を基に用途開発を強化する。 自動車のエンジン始動やハイブリッドシステムを起動する補機用途では鉛蓄電池が用いられる。ただ、鉛などの成分は適切に取り扱わないと有害なことから「脱鉛」の潮流にある。代替品のリチウムイオン電池(LiB)は発火などの危険性もあり、同社は顧客の選択肢を増やす目的でニッケル亜鉛電池事業を育成する。