NeRoLi herb・菅原あゆみさんが教える「マグカップでできる簡単アロマテラピー」
自分の機嫌を取ってあげる癖をつけましょう
外からの情報を脳へ伝える「嗅覚・触覚・視覚・味覚・聴覚」のうち、大脳辺縁系にストレートに伝わるのは嗅覚だけです。香りの情報は大脳辺縁系に伝わることで、感情が生まれ、すぐに視床下部へと伝わっていきます。 つまり好みの香りを嗅ぐと、頭で考えるより先に、いい気分になったり、リラックスできたり、元気が出たりするのです。ですから、現代を生きる女性には、精油の芳香効果を大いに利用してほしいと思っています。 例えば、「上司に理不尽に怒られたとき」や、「彼氏や夫に約束や予定を破られたとき」などはイライラして気分が悪くなる一方です。そんなときは、精油でできた「マイフレグランス」をたっぷり振りかけて深呼吸を。これは脳へのサプリメントになります。 いちばん簡単なのは、次項でお話しするように香りを吸引すること。香りの成分を鼻から取り入れることで、微量ではあるものの鼻や喉の粘膜からも吸収され、血管へと入ります。また一部は気管を通って肺に入り、肺の奥にある肺胞から毛細血管へと入ります。血液の流れにのって全身のさまざまな組織へと運ばれて効果が発揮されるので、全身のリラックスも期待できます。 特にカモミールやラベンダーなどの精油はストレスで高くなった心拍数を下げることや、緊張で活発になる交感神経の過剰な動きを落ち着かせることにも期待できるので、穏やかな気分へと誘ってくれます。 そう、精油は自分自身の機嫌を取って、どんなときも穏やかでいられる力を与えてくれるものなのです。「イライラさせられていたけれど、それは人生の浪費だったわ!」と心で唱えながら、笑顔を返せる女性になりましょう。
鼻から吸い込む“スイーツ”で心身のリセットを
小さなお子さんを持つママさんや仕事で忙しいOLさんは、日常的な不安やプレッシャーから呼吸が浅くなりがち。長時間のデスクワークやスマホの使用などで、姿勢が悪くなり、これが浅い呼吸を促進します。 香りは吸い込むとすぐに脳に届き、深いリラクゼーションを促すことができます。これは、ストレスや不安をすぐに軽減したい場合や、集中力を向上させたいときに特に有用です。 なかでも吸入法は特別な道具がなくても行えるので、是非、お好みの柑橘系などの甘めの精油を1本用意しておいて、スイーツを食べるような感覚で吸引をしてみてください。 マグカップなどの器に熱湯を注いで、その中に2~3滴、精油を落とし、上ってくる湯気に鼻を近づけて、香りを感じながら深呼吸を。これは蒸気吸入法と呼ばれており、立派なアロマテラピーです。仕事中以外にも、帰宅直後など、たった10分間で呼吸がしやすくなる使用法を覚えておきましょう。 ※精油を入れたマグカップのお湯は、子どもが誤飲しないよう注意してください。 ※咳の出るときや喘息の方は、マグカップを使った芳香浴(蒸気吸入)は避けるようにしてください。 ○材料(1回分) 好みの精油(柑橘系など甘めのものがおすすめ)…2~3滴 お湯(50~80℃程度)…200mLマグカップ ※精油成分が壊れてしまうため、沸騰したお湯には水を加えます。 〇おすすめの精油の効果 グレープフルーツ 落ち込んでいるときや心が暗くなってしまっているときに、気分を高揚させ、前向きな気持ちにしてくれる香り。気分にムラが生じて不安定になっているときにも役立ちます。 レモン 気分を明るくリフレッシュして、意識を冴え渡らせてくれます。集中力、記憶力を発揮したい場面でも力強い支えになってくれます。 オレンジスイート 心に安らぎと元気を与えてくれる香り。心配事があるときや、気分が落ち込んでいるときに支えになってくれる精油です。
菅原あゆみ(「NeRoLi herb」主宰、植物療法士)