【更年期、田中ウルヴェ京さんの場合(インタビュー前編)】閉経後に、心と体の思わぬ変化が
その年齢も、期間の長さも、症状の有無も。驚くほど個人差のある更年期。閉経する年齢も大きく異なる。大活躍しているあの人は、どんな更年期を体験しているのだろう? それぞれの貴重なエピソードを、自身の言葉でお届けする。 今回は、歯に衣着せぬコメントが人気のスポーツ心理学者・田中ウルヴェ京さん。ご自身の更年期についてはあまり語られていない印象だが、不調がまったくなかったわけではなく、実は「早いうちに婦人科へ相談に行ってよかった」と語る出来事も。 そのあたりについても伺った。
田中ウルヴェ京さん(57歳・スポーツ心理学者、五輪メダリスト)
《MY更年期STORY》 ■43歳:初期の子宮頸がんにかかり、手術 ■43歳:術後から健康に気を遣うようになり、ピラティス開始 ■48~54歳:大学院の博士課程で苦しむ。ストレスで白髪も ■54歳:閉経。博士号を取得してストレスから解放! ■54歳:性交痛の症状が出始め、婦人科に相談 ■57歳(現在):ゴルフに着物に、趣味を満喫
更年期前半は勉強に必死で、不調を感じる暇もなかった
テレビ番組での名コメンテーターぶり、聡明かつハツラツとしたイメージから、更年期不調とは縁遠い印象があるウルヴェさん。実際のところはどうなのだろう? 「閉経したのは54歳頃。そこからすると、まだ更年期真っ只中にいると思います。 ただ、ちょうど更年期に入った時期は大学院で博士号を取るのに精一杯だった頃。そのストレスがすごくて、正直なところ自分の更年期について考えるどころじゃなかったんです。48歳からの博士課程の6年間は本当に苦しくて、白髪も一気に増えました。 博士課程の苦しみはどう表現したらいいんでしょう。もう本当に死にそうなんですよ! オリンピックに出場したときよりも全然苦しい。6年間、一度も頭を休めたことがなかったです。スポーツ心理学や、誰にでも有効なメンタルトレーニングというものを、体系的に広められる自分になりたいという一心でした。 博士号を取れたのが54歳のとき。苦しみから解放されて、もう『更年期障害でも何でもこい!』という感じでしたね」 閉経したのはちょうど博士号を取得した頃だったそう。 「閉経以降もこれといって更年期特有の症状は感じませんでした。小学生の頃から汗かきで、冬でも夏服を着ていたタイプ。それが50歳を過ぎたら汗のかき方も普通になってきて、多汗やホットフラッシュとも無縁になりました」 それでも、よく考えてみると閉経後から急に変わったことが。 「イケメンを見てもときめかなくなっちゃったんです。企業コンサルティングなどで、素敵な男性にお目にかかっても、ドキドキしたり妄想したりすることがなくなりました(笑)。仕事上は楽だと思う半面さみしいなとも感じます。 それと、閉経してから性交痛が顕著になってきて…。痛いからイヤだ、では夫婦のコミュニケーション的によくないと思い、かかりつけの婦人科に相談しましたよ。 『先生、更年期ってセックスが痛くなります?』『なるなる、普通です。まずはこれを使って様子をみて』と、潤滑クリームを処方してもらいました。それからは、行くたびに出してもらっていますが、それもだんだん効かなくなりそうで。数日前、婦人科医の同窓生に会ったときも『何かいい薬を開発してよ!』なんて言ったほどです(笑)」