バックパックによるFTX EU買収は「非合法」──FTXの破産管財人が異議
FTXの破産管財人は、FTXとアラメダ・リサーチ(Alameda Research)の元従業員によって設立された暗号資産(仮想通貨)取引所およびウォレット企業であるバックパック(Backpack)によるFTX EUの買収について異議を唱えている。 管財人は、バックパックは「アメリカの破産裁判所が承認した、FTXの顧客およびその他の債権者への資金弁済プロセスに一切関与していない」と述べ、1月6日にバックパックが発表した買収に関するプレスリリースは、FTXの知るところではなく、また、関与することなく発表されたと述べている。 バックパックは、FTX EUの債権者への弁済計画を発表するとともに、買収で取得したライセンスを使用して規制された暗号資産デリバティブサービスを運営する計画についても発表していた。 「バックパックは、FTXから、FTXの顧客やその他の債権者(元FTX EUの顧客を含む)への分配を行う権限を与えられていない」と、FTXの破産管財人は声明で述べている。 2024年3月、破産裁判所は、2021年にサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏が買収したデジタル・アセット(Digital Assets)の共同創業者であるパトリック・グルーン(Patrick Gruhn)氏とロビン・マツケ(Robin Matzke)氏へのFTX EUの売却を承認した。グルーン氏とマツケ氏は、FTXのヨーロッパへの拡大を主導するために留まった。 状況を明確にするため、バックパックはこの取引について、グルーン氏とマツケ氏からFTX EUを買収したもので、キプロスの金融規制当局であるCySecの承認も得ており、2024年6月までに正式な公的記録にも反映されていると述べた。 「ライセンス取得企業として、FTX EUの譲渡はCySecによる規制当局の承認が必要だった。2024年12月、CySecは長期間にわたるデューデリジェンスプロセスを経て、バックパックによる買収を承認した。承認後、FTXの財産は裁判所承認済みの売買契約書に定められたとおりに株式を譲渡する義務がある。FTX破産管財人のように、FTX EUの元顧客に顧客資金を返還できるよう、譲渡の完了を待っている」と1月9日に発表された声明でバックパックは述べた。 FTX EUはバックパックEU(Backpack EU)に名称変更され、バックパックEUが元FTX EU顧客の資金の再分配を単独で担当するとバックパックは述べている。 元FTX EUのトップだったグルーン氏は、2024年5月にCySECとともにFTX EUの子会社に対する支配権変更手続きを開始したと述べた。これは、規制対象の投資会社の株式を譲渡するために必要な手続きだ。 「この非常に複雑な破産手続きにおいて、FTXはバックパックと直接的な関係はなく、アメリカの破産財産から資金を分配することはないことを明確にしたかった。しかし、FTX EUはバックパックEUに名称を変更し、もちろん以前のFTX EUの資金を顧客に分配するだろう」とグルーン氏は電子メールで述べた。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:FTX Bankruptcy Estate Hits Out Over 'Unauthorized' Sale of FTX EU to Backpack Exchange
CoinDesk Japan 編集部