奈良公園でK―POPアーティストによる無料コンサートに2・7億円…県民から賛否、シカへの影響を心配する書き込みも
奈良県議会は16日、県が来年10月に奈良公園(奈良市)で計画している韓国のK―POPアーティストによる無料コンサートの事業費の一部を盛り込んだ補正予算案を賛成多数で可決した。コンサートは1日限定で、総事業費が約2億7000万円と高額に上ることから、県民から賛否の声が上がっており、山下真知事は経費節減を進めていく考えを示した。
コンサートは、2025年の日韓国交正常化60周年に合わせ、県と友好提携を結ぶ韓国・忠清南道と共同で企画。来年10月に奈良公園内の春日野園地で9000人規模の無料コンサートを開くもので、アーティストへの出演料は韓国側が、会場設営費などは県側が負担する。出演者は決まっていない。 県が今月11日、県議会の委員会で計画を明らかにすると、一部県議から「行政が税金で負担すべきなのか」と疑問視する声が上がった。 県には電話で批判の声が寄せられている。SNS上でもコンサートを楽しみにする声がある一方、「住民が納得できる説明がない」「(事業費を)子育て世代のために使ってほしい」などと批判的な投稿が相次ぎ、公園のシカへの影響を心配する書き込みもあった。
また、山下氏が23年5月に就任後、奈良市の平城宮跡歴史公園で開催されていた「平城京天平祭」を費用対効果を理由に中止したことなどから、一貫性を疑問視する声も広がっている。 16日の県議会本会議では、反対する自民党会派の一部の県議5人が事業費を削った補正予算の修正案を提出したが、反対多数で否決。県側の補正予算案が可決された。閉会後、自民のほか、維新の県議も経費節減を山下氏に申し入れた。 山下氏は「日韓の友好親善、経済効果、県のPRといった価値がある」とコンサートの意義を強調した上で、「協賛金の募集やコンサートの有料化を検討したい」と話した。