〈米国の対中強硬激化で起きる日本人への危険〉中国人と区別できない米国人、私たちができること
中央情報局(CIA)長官にはジョン・ラトクリフ元国家情報局長官が就く予定である。ラトクリフ氏も、ウイグル人に対する人道的罪とコロナを隠蔽した廉で、北京オリンピックのボイコットを主張していた。
中国と間違えて日本へも被害が
もちろん、トランプ自身も選挙期間中から中国を批判しており、当選した暁には、中国から最恵国待遇をはく奪し、60パーセントを超す関税をかけると公約している。第一期目に大統領としてコロナ対策にあたったときには、スピーチ原稿に「コロナウイルス」とあったのを、自ら手書きで「コロナ」の部分を黒い太線で消して「中国ウイルス」と書き換えるなど、反中感情を煽った過去もある。 一方、日本に対する言及はほどんとない。存在感がないのである。石破茂首相の面会要請が、一旦は受け入れられながらも結局は面会でできなかったのも、少数与党の首相ということもあろうが、この存在感の低下と無関係ではないだろう。 このような反中国の布陣でトランプ政権二期目がスタートすると、米国内に反中国感情が横溢する恐れがある。コロナ禍で巻き起こったヘイトが再び巻き起こるのではないかと懸念されるのである。その時、米国の同盟国である日本の国民が中国人と間違えられて、もしくは同様な存在とみなされて被害にあう可能性も十分にある。 米国の対東アジア関係が原因で、米国内でアジアン・ヘイトが起きた事例としては、40年ほど前に、日本車の流入によって反日感情が高まっていた時に起きたビンセント・チン事件が想起される。日本からの安くて性能のいい自動車の輸入によってアメリカ車が売れず、多くの自動車会社とその関連会社が従業員をレイオフし、荒んだ雰囲気のデトロイトでその事件は起きた。 日本人のせいでクビになったと考えた白人に、日本人と間違えられた中国系米国人の青年がバットで殴打されて殺された。地域住民の意向が反映されやすい米国の裁判によって、加害者は罰金が科されたのみで服役することはなかった。40年たって、今度は日本人が中国人に間違えられて暴力を受けるのではないかという、日中がひっくり返った構図になったのである。