1ドル=141円台への急落→147円台への反発も…国際金融アナリストが「円売りバブルは破裂した」と予想する、これだけの理由
今週の注目点=経済指標発表による米景気への影響
過去最大規模に拡大した投機筋の円売りが、ほんの1ヵ月程度で一気に消滅した動きは、やはり「バブル破裂」と表現してよいのではないでしょうか。それには、投機的円売りが急増した、いくつかの前提条件が変わり始めていたことが大きかったのではないでしょうか。 その1つが「できない」と思っていた日本の円買い介入ができたということ。そして、日米金利差も10年債利回り差の円劣位が、一時3%以下に縮小するなど、円売りにとって圧倒的に有利という状況が少しずつ変わり始めました。 投機的円売りは、円を売って利回りの高い先に投資する円キャリー取引とも呼ばれますが、世界的な株価の最近の不安定な動きも、円キャリーを縮小させる影響をもたらす可能性があるでしょう。以上のように見ると、投機的円売りの再拡大には、おのずと限度があると考えられます。 今週は、PPI(生産者物価指数)、CPI(消費者物価指数)、小売売上高など、注目度の高い米経済指標の発表が多く予定されています。これらの結果を受けて、雇用統計発表後に広がった米景気への懸念がどうなるか、そして、米金利がどう動くかが注目されます。 ただし、すでに見てきたように、投機的円売りの再拡大に限度があるなら、米ドル高・円安の余地は限られる可能性があります。米金利の低下や、株安が再燃するようなら、米ドル安・円高への反応もありうるでしょう。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は、144~150円で予想します。 吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長 ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
吉田 恒
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