第一生命社長、金利高見据え国債入れ替え-30年債は2.5%が上限
(ブルームバーグ): 第一生命保険は国内金利の上昇を見据え、運用資産における日本国債の入れ替えを来期(2026年3月期)も進める方針だ。隅野俊亮社長がブルームバーグとのインタビューで述べた。
金利上昇に伴い、第一生命はポートフォリオ改善などを目的に国内債券の入れ替えを加速させている。今上期(24年4ー9月)には主に20-40年の日本国債約5000億円を入れ替え、約1400億円の売却損を計上した。
隅野氏は上期に入れ替えが集中したとし、下期は少し抑制的になると説明。来期以降については「損益への影響に留意しながら適切な入れ替えオペレーションを進めていく」と述べた。
第一生命を含めた国内大手生保4社の運用資産の大半を占める国内債券の含み損は、金利上昇を受け増加傾向にある。昨年9月末の4社合計額は4兆4294億円と3月末から2倍超に拡大。第一生命の含み損も1兆円を超える規模に膨らんだ。含み損は運用資産の配分でリスクを取りにくくする原因にもなり、金利上昇に合わせて各社はポートフォリオの改善を進めている。
米国モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は、親会社の第一生命ホールデイングスが株式売却益などによる通期利益見通しの上振れが見込まれるとして、「損失を計上できる余地があった」と指摘。その上で「資産入れ替えによって将来的にはより高い投資収益率につながり、金利上昇は一般的に生保にとってはポジティブ」との見方を示した。
隅野氏は足元の日本経済は回復基調を維持しているとして日本銀行が今月にも追加利上げを行うとみている。ただ、長期的な日本経済を考えると「インフレ率が2%を維持できるか少し疑問視している」とも言及。今年の金利動向は上昇を見込むが、主要な投資対象とする30年債で2.5%、10年債では1.5%程度が上限との見通しを示した。
20日に就任するトランプ次期米大統領の施策が日本経済に及ぼす影響について、17年からの第1期政権期間に米国に駐在していた同氏は、好悪両面の影響があるとみる。また、国内では一部大手企業で大幅な減益決算が出るなど、好調な企業との二極化の兆しがあると指摘した。