本州最南端の聖地と呼ばれる湖畔のリゾート長沢ガーデンで旅を満喫!|レトロ自販機の旅【第12話】
【レトロ喫茶の旅#12】 レトロ自販機店というとオレンジハット系列が数多く出店していた群馬県がイメージされるが、実は岡山から西に位置する中国地方にも数多くの自販機店が存在し、いまも独自のやり方で営業しているところが多い。というわけで、今回は本州最南端の聖地と呼ばれる長沢ガーデンを紹介したい。 【画像37枚】長沢ガーデンの温泉は23時を過ぎると宿泊者のみしか入ることができなくなるため、写真のように独占状態。日帰り入浴料は大人450円(取材時400円 いずれも税込み)、小人160円(税込み)。温泉を楽しむ地元客が多く。夕方以降はかなり混み合っていた 創業は1966年。周囲約6kmの湖で、渡り鳥で有名な長沢池の湖畔リゾート。宿泊とレストランが中心であり、決して自販機がメインではない。転機は山陽自動車道山口南インターチェンジの完成。 出口から遠くない長沢ガーデンは広い駐車場があったことから長距離トラックの休憩場として最適。レストラン営業中はもちろん、営業時間外の深夜も数多くのトラックが出入りすることから、飲料自販機だけでなく食品自販機の需要が高まったのだ。 しかしながら顧客はトラックドライバーだけでなく、ツーリングを楽しむライダー、そして何よりも多いのが温泉を楽しむ家族連れだ。温泉につかったあとの家族はそのままレストランに向かうか、自販機が並ぶ奥の中庭で夜食変わりにレトロ自販機へと手を伸ばす。ちなみに中庭には、日本ではほとんど販売されていないオランダのラスポテトや自家製カレーが有名な食品売店「メリーランド」もあり、人気だ。 レトロ自販機は、富士電機製めん類専用機が2台並んでおり、1台は天ぷらうどん、もう1台は肉うどんとなっていた。ちなみに西日本にはハンバーガー自販機はなく、めん類のほとんどはうどん。それも肉うどんが圧倒的に多い。もちろん出汁の効いた薄味。その上にのった少し味が付いた肉との相性が良く、食が進むのである。 レトロ自販機は、レストラン「板さんの店」入り口の脇にある中庭に設置されている。目印は黄色い建物の売店「メリーランド」。飲料自販機に挟まれるように2台の富士電機製めん類自販機が並んでいる。どちらもカウンターがデジタル表示の型。今回取材したときには右が肉うどん、左が天ぷらうどんとなっていたが、過去にはきつねそばなどがラインアップしていたこともあるため、メニューが変わる可能性がある。もちろん西日本自販機の代表でもある肉うどんがなくなる可能性は低いだろう。出汁は「板さんの店」で作られているため、深みがあり、おいしい。自販機自体は建物の外にあるため24時間稼働しており、いつでも食べられる。しかし、野外にあることから、故障も多く、取材当日も1台の自販機のドア破損修理を行っている最中だった。平日の昼間だったこともあり閑散としているが、日が暮れるにつれ立ち寄り温泉客でいっぱいになった。 創業以来湖畔のリゾート地としての地位を守ってきた長沢ガーデンは、休日は満室となる人気ぶり 66年の創業以来、湖畔のリゾートとして地位を守ってきた長沢ガーデン。今は施設そのものが持つレトロ感を楽しむファンが多く、土日と祝祭日は満室となることがほとんど。 すべて和室となっていて、昭和の時代の旅館の雰囲気。80名以上の団体客が一緒に泊まることのできる部屋もり、スポーツ合宿、研修旅行などにも利用することが可能だ。 もちろん利便性も兼ね備えられており、施設全体で使える無線LAN環境の完備はもちろん、アメニティーも十分。懐かしさだけでなく、しっかり旅行の快適さも味わうこともできる。 食事はレストラン「板さんの店」が外せない。湖に面しており、自然の雰囲気の中で食事が楽しめる。メニューは和食、洋食、中華と多種多様の品揃えで、老若男女問わず、お勧めできる食事どころ。朝食メニューもあるため、朝晩の食事に困ることはない。家庭的でやさしい味に仕上がっているので、どのメニューもお勧めだが、一番のお勧めは有名日本料理店での経験を生かした板長の山本昇さん自慢の釜飯とのこと。営業時間は午前10時から22時までで、ラストオーダーは20時50分。 そして宿泊者にうれしいのが温泉。立ち寄り温泉は午前9時30分から23時まで利用可能(受付けは22時20分まで)なのだが、宿泊者は23時以降の利用も可能となっている。 今回はレトロ自販機というよりも宿とレストランを楽しむ旅の紹介となったが、基本的にこの企画は自販機を取り巻く環境そのものを紹介するもの。 次回も西日本の自販機店を紹介。もしかすると「レトロ自販機の神さま」と呼ばれるあの人が登場するかも!? この写真の部屋は本館2階。6畳の和室と前室があり、ぜいたくな広さ。窓からは湖がよく見える。素泊まり1人4000~5500円(税込み)。下の部屋は別館2階。少しだけ新館よりも古い感じ。1人3500円(税込み)。どちらも温泉入浴料は含まれた料金だ。団体客は1人2500円からと、かなり安価だ。 長沢ガーデン最大の売りであるレストラン「板さんの店」。和食、洋食、中華と揃っており、アイスクリームなどのデザート、喫茶店メニュー、お酒とおつまみなど、食事から軽食、軽い飲み会までなんでもこなすことのできるレストランだ。写真のように2面の壁すべてがガラスとなっており、湖を眺めながら食事することができる。ちなみに、小林嬢を含む本誌スタッフが注文したのは3品。右から長沢定食(1157円)、長沢御膳(1944円)、洋定食(980円)。定番のメニューを選んだ3人だったが、実は釜飯系のメニューがお勧めと後から聞くことに。レストランの隣はお土産売り場とちょっとしたゲームセンターがある。2階にはイベントや研修などで利用できる200人収納可能の大宴会場があり、それぞれのプランに合わせた会食メニューも用意することができる。 温泉は23時を過ぎると宿泊者のみしか入ることができなくなるため、写真のように独占状態。日帰り入浴料は大人400円(税込み)、小人160円(税込み)。個室休憩料金は6名まで3300円(税込み)。温泉を楽しむ地元客が多く。夕方以降はかなり混み合っていた。 初出:ノスタルジックヒーロー vol.202 2020年12月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部