中国、EUへの報復は限定的か-米欧の連携強化避けたい習主席
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)が発表した中国製電気自動車(EV)に課す関税の引き上げに対抗し、中国はEUに対し的を絞った限定的な報復措置を取る可能性が高い。
米国やトルコなどは先に中国からの輸入急増を抑える措置を講じているが、EUは中国から輸入するEVに最高48%に関税を来月から課す。
EUの行政執行機関、欧州委員会が関税引き上げを12日に発表すると、中国商務省と在EU中国商工会議所(欧盟中国商会、CCCEU)はEUを激しく非難した。
報復措置をちらつかせる中国政府にとってのリスクは、対応が強過ぎれば、これまで欧州に「戦略的自律」を促してきた習近平国家主席の取り組みに逆行し、対中政策で欧州に米国との連携をさらに強めさせる可能性があることだ。
調査会社トリビアム・チャイナの経済アナリスト、ジョー・パイセル氏は「中国が攻撃的な関税で応戦すれば貿易戦争を引き起こす危険」があり、中国政府はそれを避けようと「躍起」だと指摘した。
中国はすでに米国との貿易摩擦が激化するという見通しに直面している。
ドナルド・トランプ氏は大統領時代に中国製品への関税引き上げを複数回実施。11月の米大統領選を控え、トランプ氏は一部の世論調査で現職のバイデン大統領をリード。
また、バイデン政権の下で中国に対する先進国間の協調が強まっており、主要7カ国(G7)は中国が世界経済をゆがめていると名指しで非難し始めている。
ベルリンのメルカトル中国研究所(MERICS)は、中国の報復はチーズや豚肉などの農産品に集中すると予想する。
EUがEVに関する反ダンピング(不当廉売)調査を開始した後、中国政府はブランデーのような欧州の酒類に対する調査を始めた。ブランデーの主要輸出国であるフランスは中国製EVに対するEUの措置を後押しした。
中国はまた、大型エンジンを搭載した輸入車に対して25%もの高関税を検討していることを示唆している。