命令出ても団体存続? 教団財産は散逸? 「解散」だけで終わらない旧統一教会問題
旧統一教会をやめると両親に告げ、教会にも通わなくなった。そんな時に、いまの夫となる男性と出会った。一般社会で生きてきた彼に身の上を話し、彼の話から初めて一般社会のあり方や生き方を理解していった。まもなく彼の両親も明希子さんの生い立ちを理解、明希子さんは再婚する運びとなった。 ただ、明希子さんが実家を離れ、信仰をやめても、両親の信仰は変わらなかった。明希子さんによれば、両親が旧統一教会に支払ってきたお金は、祖父の遺産とは別に4000万円以上になるという。文鮮明の発言集や各種教典、高さ数十センチのツボといった霊感グッズ、教団が掲げる目標の「献金摂理」だけで2500万円以上するほか、自身の先祖を430代前までさかのぼって供養する「先祖解怨」が父と母二人で1500万円、さらに長期にわたる毎月の給与からの献金もある。それらと祖父の遺産1億6000万円を合わせれば2億円以上、旧統一教会に支払ってきたことになるという。こうした高額献金の実態があったため、銃撃事件後の昨年秋、多くの2世が被害を訴えるのを見て、明希子さんも両親に連絡し、教団本部に返金を求めるよう依頼した。だが、前述のようにその願いはかなわなかった。
「合意書を書く直前、私は母と電話していました。返金は3000万円じゃないでしょうと。少なくとも1億6000万円は確実にあるのはわかっていることです。だから、これだけは全額の返金で請求するよう考え直してほしいと。もしそのお金があれば、祝福結婚生活で多額の借金をしなくてよかったし、私の人生も違ったものになったはずです。それは同時に『娘と信仰どっちが大事なの?』という問いでもありました。でも、母は結局、返事をせず電話を切りました。その後、3000万円の合意書にサインをしていたのです。私は本当に悲しかったです」 いま教団の解散命令請求が出されようとするなか、明希子さんは、献金被害への対応もあるが、それ以外の2世などの社会でのあり方にも注意を払ってほしいと訴える。