【日本の出生数が30年でなんと半減…!】その中でなぜ「九州の出生率」がこんなに高い…家族構造に大きな理由があった
九州の女性は地元に残る
日本総合研究所は12月3日、'24年の日本の出生数が前年比で5.8%減の68.5万人になるとの試算を公表した。30年前、'94年の出生数が123万人だったことを考えると、ほぼ半減だ。一人の女性が生涯に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」(以下、出生率)も、'94年の1.50から大きく落ち込み1.15を割り込む見通しとなった。 【一覧】あなたの知事はどんな人? 全国47都道府県「知事の履歴書」 少子化はまさに待ったなしの状況だが、じつは出生率には、都道府県によって大きな差があることをご存じだろうか。 最も高いのは沖縄県の1.60。続いて長崎県、宮崎県の1.49、鹿児島県の1.48、熊本県の1.47となる。対して低い地域は、最下位が東京都の0.99で、次に北海道の1.06、宮城県の1.07、秋田県の1.10、京都府の1.11となっている。 つまり、上位を西日本、とりわけ九州と沖縄が独占し、下位は東日本、特に東北や北海道が占める「西高東低」の傾向を示しているのだ。
以前は『東高西低』だった
第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生氏が解説する。 「出生率が西高東低になる理由については、西日本ほど男性の未婚率が低く、女性が30代、40代でも子供を産む傾向があることが挙げられます。しかし、それらの根本原因はまだ明らかになっていないのが実状です。 出生率トップが沖縄でワーストが東京ということから、所得が高いほど出生率が下がるのではないかという見方もあります。しかし、所得の低い東北地方も出生率は低い傾向があるので、一概には言えなそうです」 ネット上では、さまざまな憶測が飛び交っている。たとえば「西日本は温暖だから」とか「九州には『男が外で働いて、女は家事をする』という古い家族観が残っていて、それが出生率に影響している」といったものだ。ところが、こうした俗説に関して、子育てや教育を専門に研究している中村学園大学特任講師の益田仁氏は注意を促す。 「今でこそ出生率は西高東低ですが、高度成長期以前は『東高西低』だったので、気候が影響するという説は誤りと言えます。また、『九州は男尊女卑の文化が根強く残っている』などのステレオタイプを安易に当てはめるのも、的外れです」