ステンレス鋼板大手3社24年3月期、2社経常減益・1社赤字。数量減・在庫評価益はく落
ステンレス鋼板メーカー3社の24年3月期決算が出そろった。日鉄ステンレス、日本冶金工業の一貫2社は売上げ・生産数量減が響き、また在庫評価益がはく落して大幅減益となった。単圧の日本金属は一貫2社とは収益構造が異なり、大幅な数量減によるコスト負担の増大を収益改善活動でカバーできず、経常赤字に転落した。 需要は自動車分野で緩やかに回復したが、半導体製造装置向けの在庫調整継続や、建設着工の遅れなどで需要全般は振るわなかった。また、主にニッケル系冷延薄板で高水準の輸入鋼材入着が続き、サプライチェーンの各段階に滞留していた過剰在庫の調整に想定以上の時間を要した。 日鉄ステンレスの鋼材出荷量は、前期比15万2千トン(14%)減の91万1千トンとなり、日鉄ステンレス発足後で最低だった。日本冶金工業の販売数量(単独)は、ステンレス鋼板が4万3千トン(25%)減の12万8千トン、高機能材が7千トン(16%)減の3万7千トンと大幅減となった。 在庫評価損益は22年度の利益から23年度は損失に転じた。日本冶金工業は連結営業損益で121億円の悪化影響があり、これを除く実態損益は14・6%改善した。高機能材の販売価格・構成改善が寄与した。日鉄ステンレスは収益構造改革を着実に進めたが、数量減の影響が大きく実態損益は低下した。 日鉄ステンレスは今期の鋼材出荷量で前期比5~10%増を見込む。日本冶金はステンレス鋼板で同21%増の15万5千トン、高機能材で8%増の同4万トンを見込む。