2023年の「新設法人」、過去最多の15.3万社 起業年齢は過去最高の平均48.4歳、シニア層に起業拡大
「新設法人」調査(2023年)
2023年(1‐12月)に全国で新設された企業は、2024年4月時点で15万2860社(前年比7.9%増)判明し、2年ぶりに増加した。2021年の14.4万社を上回って過去最多を記録し、新たに市場へと参入する企業の増加が続いている。企業新設時の代表者年齢(起業年齢)は48.4歳と上昇が続き、過去20年で約3歳高くなった。起業者の高齢化には若年層や女性のほか、現役を引退したシニア層など多様な世代へ起業への門戸が開かれていることも要因の一つとなっている。
2023年に「新設」全国で15.3万社・前年比7.9%増 起業への「心理的ハードル低下」要因
2023年に全国で設立された新設法人は15万2860社に上り、前年から7.9%増加した。 法人の新設動向は、特に2010年代後半から増加傾向が顕著となり、10年前の2013年に比べて年間の設立数は約1.4倍に増加した。新興企業や太陽光発電への投資など特定の事業活動を目的とした企業設立が活発であることも、新設法人数が増加した要因となった。また、2023年10月からスタートしたインボイス(適格請求書)制度に対応するため、法人格を取得した小規模事業者も一定数あったとみられる。加えて、個人の趣味や特技を生かした起業への心理的なハードルが低下していること、「スタートアップ創出促進保証」など経営者保証を必要としない国・自治体による創業支援制度の取り組みが、起業の増加をより後押ししたと考えられる。 なお、同年の休廃業・解散件数(5万9105社・前年比10.6%増)、企業倒産件数(8497社・同33.3%増)と比べると、いずれも新設法人の増加率を大幅に上回ったが、新設法人数は企業倒産・休廃業・解散の総数に比べ2.26倍高い水準だった。
「株式会社」が最多10.1万社 マンション建設ラッシュで「管理組合法人」新設1.3倍
法人格別にみると、最も多いのは「株式会社」で10万1459社となり、全体の66.4%を占めた。株式会社が10万社を超えたのは2000年以降で初めて。低コストでの設立が可能で、利益配分面などで経営の自由度が高い「合同会社」は4万630社で、株式会社と合同会社で23年全体の9割を超えた。 法人格別に増加率をみると、「土地家屋調査士法人」が最も高く、42.9%増(42社→60社)となった。2020年に法人化への要件緩和が行われたことも要因とみられる。マンション建設ラッシュなどを背景に、共用部分の維持管理といった機能を担う「管理組合法人」も29.2%増(65社→84社)と増加が目立った。 一方、老人福祉などの業態も多い「社会福祉法人」(86社→55社、36.0%減)は、職員不足や介護報酬が小幅なプラス改定にとどまるなど経営環境の悪化を背景に3割以上も落ち込み、新規参入しづらい環境が影響したとみられる。