折り畳み電動自転車からZガンダムへの暴走
本気で考察してみる。Zガンダムはロボット形状から変形してウェイブライダーという航空機の形状になる。変形することで二足歩行の人型ロボットと航空機という2つの用途を兼ね備えるわけだ。一方折り畳み電動アシスト自転車は、折り畳むことで持ち歩きが容易になったり、小さくなって収納しやすくなったりする。電動アシスト自転車は通常の自転車よりも重いので、持ち歩きといっても自動車に乗せやすいという収納の便利さが主だろう。ロボットが航空機に変形するなら共に能動的に使えるが、自転車を折り畳むと収納に便利、というのは少々受動的だ。 電動モーターという動力の付いた電動アシスト自転車を変形させることで、能動的な用途に便利に使えるようにはならないだろうか。 すぐに思いついたのは車椅子だった。電動車椅子というのがあるが、道路交通法上は歩行者の扱いなので、最高速度は時速6kmに制限されている。が、車椅子モードでは時速6km制限でも、変形して電動アシスト自転車モードになると時速20kmで自転車として移動できる、ということになれば、これは脚部に障害を持つ人には大変大きな利便を提供できるのではなかろうか。 スポーツ用車椅子というものがある。車椅子バスケットボール、車椅子テニスなど様々な車椅子を使う競技があって、それぞれ専用の車椅子が制作されている。中にはレース用車椅子というのもあって、これはなかなか速い。 こういうものに電動モーターを付け、さらに変形機能で複数用途に対応させたら、健常者でも便利に使えるものにはならないだろうか。 ●小さくて軽いことは変形に有利 こういう思いつきは、大抵の場合、突っ込んで考えていくと「やっぱりダメだった」となるものだ。最近では、ちょこちょこネットで検索すると、もうやっている人がいる、ということもある。逆に言えばダメでも全然気にする必要はない。気楽に、広げられるだけ思考の翼を広げていけばいい。「そもそも、なんで折り畳み自転車は商品として売っていても、折り畳み自動車はないのだろうか?」くらいから考えてかまわないのだ。 折り畳めるバイク、というのはいくつか例がある。1980年代、ホンダは「モトコンポ」という第一種原動機付自転車を販売していた。ハンドルやシートを折り畳むと直方体形状になり、当時のホンダのヒット車種「シティ」にぴったり積載することができる。4輪の自動車に2輪を積んで行って、出先で遊ぶというライフスタイルを提案する乗り物だった。 モトコンポの走行性能はあまり高くなかった。スピードを出すとふらふらと安定せず、走るのが怖い。それでもいいという遊び用のバイクだった。本格的に走れる折り畳みバイクというのは、私は知らない。 一方、折り畳み自転車では、かなり本格的な長距離を走ることができる車種もある。 折り畳めるバイクと自転車とでは何が違うかといえば、使用する速度域と重量だ。速度域と重量が小さくなれば、折り畳むヒンジ部分にかかる荷重が小さくなる。ヒンジ部はどうしてもガタつきや強度の低下が発生する。かかる力が小さければメインのフレームにもヒンジを設けることが可能になり、より大胆な折り畳み方が可能になるわけだ。 航空機は自動車に比べればかなり大きいが、空を飛ぶために軽くつくられている。空母に搭載する艦載機は、翼を折り畳める設計にすることが多い。本質として「サイズの割には軽いから、折り畳み機構の組み込みが可能なのだ」と考えられる。 また、重量が軽ければ、人の手で折り畳めばいいので、折り畳み機構に動力がいらなくなる。あるいはモーターのような動力で折り畳みや展開を行うにしてもより小さな動力で済む。 「小さくて軽い乗り物ほど変形に適している」ことを語ってきたが、ん、まてよ、モーター……。「小さくて軽い乗り物ほど電動化に適している」ことも言えるのではないか。