前半にPKストップも敗戦。前回の選手権準Vを知る近江GK山崎晃輝主将「自分たちの甘さ」:滋賀
[11.9 選手権滋賀県予選決勝 近江高 0-3 草津東高 皇子山] 「1年間積み上げてきたものの結果がこれだと思うんで、自分たちの甘さっていうのがやっぱり結果として現れたと思うんで、しっかり受け止めないといけないとは思っています」。近江高のGK山崎晃輝(3年=愛媛FC U-15出身)は涙で目を腫らしていたが、前を向いて率直な感想を口にした。 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 「(1年間通して)個人個人のことでやっぱり『これぐらいでいいだろう』とか少し見逃していた部分があった」と山崎。それが積み重なり、決勝で「甘さとして出たのかなと思います」。新人戦、インターハイ予選に続く県3冠を達成することはできなかった。 前回大会の選手権で大躍進を果たし、準優勝。その攻撃的なスタイルでも観衆を魅了した。新チームは注目される中での1年間。山崎を除くと先発10人が入れ替わったが、「チャレンジャーっていう気持ちは忘れず毎試合戦っていた」というプリンスリーグ関西1部では連敗することなく勝点を重ね、7位につけている。 選手権予選ではプレッシャーを感じていたというものの、今年は今年。まずは1試合1試合、目の前の相手に勝つことを目指してきた。草津東高優勢の声が耳に入っていたという決勝も、「しっかり相手に向かっていこうという感じで入りました」(山崎)。相手にスペースを埋められ、なかなかチャンスを作れなかったが、守りから入ったチームは無失点のまま試合を進めていた。 だが、前半32分、ゴール前で相手FWに粘られ、こぼれ球を押し込まれる形で失点。さらに前半38分には、PKを献上してしまう。これを山崎がストップ。昨年度の選手権でも2度のPK戦で活躍している守護神が、チームを救った。 司令塔のMF伊豆蔵一惺(3年)は、「山崎が止めてくれて、まだ0-1の状態やったんで、全然自分たちも行けるみたいな感覚があったし、鼓舞して、全員で行こうっていう形になってはいた」と振り返る。 だが、山崎は「あの場面で決められてしまったらもうちょっと厳しいかなっていう状況の中で止められることはできたんですけど、それでも勝ちに繋がらなかった」。近江は前半半ば、後半とDF高本翼(3年)やDF中川郁人(3年)がDFラインから持ち運ぶ形で前進し、伊豆蔵らが人数を掛けての攻撃を繰り返していた。 だが、山崎は全体的に消極的なプレーが増えてしまったことを残念がる。「ピッチの中で1人でもこうギアを上げる選手がいれば局面は変わったのかもしれないですけど、(自分も含めて)なかなかそういうプレーがなくて、みんなこう待って待ってになってしまったんで……」。また、マークを外しても離れずについて来る草津東の粘り強い守りに後半も苦戦。なかなか良い形で中盤の網を突破できず、ラストのクオリティを上げることもできない。 後半15分にミドルシュートで失点すると、さらに27分にもカウンターから失点。試合終盤は近江らしい攻撃を幾度も展開し、相手最終ラインに仕掛ける回数を増やした。だが、シュートがポストを叩き、またゴールライン際で相手DFにかき出されるなど無得点のまま試合終了。国立に戻ることはできなかった。 前回大会の全国準優勝、今回の県予選準優勝を経験した山崎は「正直、昨日の夜からずっと自分の中でソワソワするものがあって、これまでで1番緊張した大会だったのかなと。色々なプレッシャーであったりとか、不安であったりとか、そういうものから来たのかなとは思うんですけど、それでも自分の発言や行動でチームの雰囲気だったりとかを変えれたら良かったんですけど、そういうものができずに、やっぱりキャプテンとして不甲斐ないなとは自分の中で受け止めています」と悔しがった。 1年前は、国立競技場で2試合を戦うなど先輩たちに素晴らしい景色を見せてもらった。山崎は、交代出場で活躍したFW山本諒(3年)らとともに「自分たちもその景色を見させてあげたい、もう1度(国立へ)行きたいっていう思いもあった中で取り組んできたつもりではあったんですけど、やっぱりその気持ちっていうのがなかなか伝染していかなかったのかなと思っています。(後輩たちには)しっかり自分と向き合って成長していって欲しいなと思っています」。前田高孝監督からは試合後、切り替えてAチームのプリンスリーグ関西1部、Bチームの同2部で「しっかり残留しようということで言われました」(山崎)。国立を経験した世代は、後輩たちが成長できる場を残して近江から卒業する。