【ABC特集】「中学2年の2学期からひきこもりに・・・」 50人に1人が「ひきこもり」の日本 当事者に聞いた「なぜそうなったのか?どうやって抜け出したのか?」
抜け出すため重要だったこと 見守る決断と良いタイミングでの情報提供
ネガティブな感情もある中、役に立ったのは、母親がずっと調べてくれていたカウンセリングの情報でした。 「僕が最も何かを求めているタイミングに、母親が僕が行ってもいいかなって思えるカウンセリングの情報を出してきたんです」 中谷さんは情報をもとにカウンセリングに通い、少しずつ外出ができるようになりました。そして、医療機関の治療を経て、ついにひきこもり生活を終えます。当初は拒否していた母親の行動が実を結びました。 中谷さんは、焦りや怒りの感情が出てきたのは、心のしんどさが癒されてきた状態、心のエネルギーが溜まってきた状態のひとつのサインだったと考えています。また、父親が見守ると決断してくれたことも、抜け出すために、重要だったと考えています。 「そっとしておいた。つまり引きこもっててもいいよっていう状況を作ってくれたんだと思うんですよ。そこはすごくいまとなっては感謝しています。」 中谷さんの父親は同じ悩みを持つ親に向けて対応は“それぞれ考えるしかない”といいます。 (中谷さんの父) 「最低限言えることは向き合うことですね。その上で、状況をなるべく親として判断することです。その先は本当にそれぞれ考えていただくしか手がないと考えています」
ひきこもり生活を経て病院の居場所作りで活躍
現在、中谷さんは病院に勤務していて、精神保健福祉士の資格を取得。今年2月には結婚もしました。 病院ではカウンセリングのほか、ひきこもりやコミュニケーションが苦手な人を対象にした居場所作りの活動にも携わっています。
この日はボードゲームをするだけというシンプルな内容の居場所。中谷さんが進行役となり、ゲームを盛り上げます。利用者の好みを聞き取って、いろいろな企画を生み出してきました。 (30代の男性利用者) 「毎回毎回新しい楽しさがあるので来ていて楽しいですね」 (50代の女性利用者) 「家にいるとやっぱりいろんなことを考えたりしてちょっと落ち込んでしまいます。ここにきてゲームしたり笑ったりすることが生活の一部になっています」 居場所作りには、ひきこもりから抜け出した中谷さんの経験が生かされています。 「ただ○○をする、みたいなハードルが低く、みんなにとって楽で楽しいサポートの在り方みたいなものを全国的にそういう何かエネルギーがたまりやすいような、ひきこもり支援のあり方を広げていければと思っています」