【ABC特集】スムーズに進まない万博のパビリオン建設・・・一体なぜなのか? アルメニアのパビリオン「タイプA」建設断念に至るまで密着したらその理由が見えてきた
(アルメニアのパビリオンを設計・デザインしている遠藤秀平さん) 「AタイプはやめてCタイプにします というのが私の手元に来ました」 【開催まで9ヵ月】独自設計出展目指すはずが・・・・パビリオン断念の舞台裏 大阪・関西万博 事態が急転したのは、6月の始めでした。アルメニアが万博での「独自パビリオン」の出展を諦めたのです。 (遠藤さん) 「みんなの顔を見ながら話していると、終わったのかなと思いましたね。組み上がっていたパズルがバラバラになった瞬間です」 万博のパビリオン建設でいま相次いでいる「計画の断念」。一体なぜそんなことが起きるのか?アルメニアの建設計画に密着取材をすると、その理由が見えてきました。
アルメニアは、来年4年から大阪で開催される万博で、独自に設計・建設する「タイプA」での出展を決めました。そのパビリオンのデザインを任されたのが建築家の遠藤秀平さん(64)です。 (遠藤さん) 「これは建築のコンセプトで、アルメニア正教の尖塔といいます。とんがっているイメージが屋根のモチーフの原点」
アルメニア人にとって聖なる山である「アララト山」と、歴史ある教会の屋根の形からイメージを膨らませ、遠藤さんの建築の特徴でもある、「コルゲート」と呼ばれる金属を屋根に用いて、デザインを作り上げました。 万博は、遠藤さんにとっての「原点」だといいます。 (遠藤さん) 「10歳で大阪万博で建築っておもしろいと思ったことが、私の中で1つのスタート地点になっているような気がします。もう一度巡ってきた約50年後の万博に参加できるというのは、それは非常にうれしいことですし。世界中の建築家が提案する場面ですから本当にやりがいのある、いいチャレンジですね」 35年のキャリアの中で初めてのパビリオン建設。遠藤さんも力が入ります。ところが・・・。
「つまづき」の始まりは今年2月。アルメニアの万博担当大臣が突然解任されたのです。ほかの万博担当者も人事異動で入れ替わり、契約の交渉がリセットされてしまいました。