日系電子部品の世界出荷額、上期4.4%増…在庫調整進み円安も寄与
JEITA調べ
電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた日本メーカーによる2024年度上期(4―9月)の電子部品世界出荷額は、前年同期比4・4%増の2兆2923億円だった。各年度ごとに統計参加企業が異なるため単純比較はできないが、年度上期としては2年ぶりにプラスに転じた。顧客の在庫調整が進み、実需見合いの出荷に戻ってきたようだ。為替の円安も寄与した。下期(10月―25年3月)にかけては人工知能(AI)関連の伸びに期待がかかる。 【グラフ】電子部品グローバル出荷数と増減率 品目別の出荷額は、スマートフォンや自動車の中で電気を一時的に蓄えたり放出したりして回路のノイズを除去し、電圧を安定させるコンデンサーが同7・2%増の7710億円。スマホなどの電子機器に電気を通すケーブルの端子となるコネクターは同7%増の3245億円だった。 23年度上期に比べ24年度上期の電子部品の出荷量は、スマホなど最終製品の実際の売れ行きを反映したものに戻ったといえる。電子部品・半導体商社のコアスタッフ(東京都豊島区)の戸沢正紀社長は「需要に見合ったオーダー(注文)は徐々に出ているのではないか」と推測する。 さらに、為替の円安進行が出荷額を押し上げた。23年度上期の平均レートは1ドル=約140円だったのに対し、24年度上期は1ドル=約154円だった。業界関係者は「円安を加味すれば、(電子部品の出荷額は)横ばいか若干の微減といえる」との見方を示す。 確かに、自動車市場では欧州で電気自動車(EV)普及が鈍化したことや、中国における産業機器市場の回復の遅れなどに電子部品各社は影響を受けた。ただ、産機市場については「(産機分野の顧客から)試作と思われる受注が増えている」(戸沢社長)とし、明るい兆しもある。 今後については、データセンター(DC)のAIサーバーのほか、端末でAIの学習や推論を可能にする「エッジAI」が電子部品への需要を一段と喚起しそうだ。