トヨタグループの認証問題、国内製造業に与えた打撃
トヨタ自動車やトヨタグループにとって2024年は品質のあり方を再考する1年となった。車の量産に必要な「型式指定」の申請においてグループの日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機で相次ぎ不備が報告され、6月にはトヨタでも同様の事象が発覚した。トヨタは自動車産業の盟主であり日本の経済や製造業への影響は少なくない。何よりの競争力であった製品の信頼性を取り戻すべく、全社・グループを挙げ再発防止や次なる仕組みづくりを進める。 【決算一覧表】トヨタG主要部品メーカー5社、通期見通し下方修正の背景事情 型式指定は国のルールに沿った方法で安全性や環境性能を審査し、基準を満たした場合に量産・販売ができる制度。今回、トヨタでは日本で現行生産する5車種で国が定めた基準と異なる方法で試験を実施したことが明らかになった。認証業務を正しく行えておらず、7月末に国土交通省から是正命令が下った。 これを受け、トヨタは8月に同省に再発防止策を提出。経営が認証業務を理解し積極的に関与することや、データの管理体制の強化、経営と現場が一体で異常に気付き、改善できる仕組みづくりなどに乗り出した。 トヨタが進める再発防止策では「現場」を重視する。従業員一人ひとりの意識を高め、正しく仕事ができる仕組みを整えるのが特徴。経営陣が現場に足を運び、環境整備やリソース(資源)の最適化を進める。 またトヨタグループ全体で認証業務を含めた車の企画から販売までの仕事のプロセスを共有し、見直すべく「法規認証TPS(トヨタ生産方式)自主研究会」を立ち上げ、グループ全体の風土づくりへ歩みを始めた。 トヨタだけでなくホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機でも型式指定の申請で不備が見つかった。定められたルールを守ることは大前提だが、ルールが複雑化している。国交省は有識者らによる「自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会」で議論を進める。ユーザーはもちろんメーカーにとっても納得のできるルールが求められる。