グーグルの生成AIサービスアプリが「Gemini」がiPhoneアプリに、スマートフォンのプラットフォームを巡るAI競争へ
機能的には同社がAndroid向けに提供しているGeminiアプリにかなり近い。iPhone向けにGeminiを簡単に使えるようにするもの、と考えていいだろう。 ■アプリ提供は「既定路線」、特別な話ではない 冒頭で述べたように、アップルとグーグルは「AIによるスマホの改革」で競争を繰り広げている。ただ、アップルはこの10月からアメリカ英語向けに機能提供を始めたところであるのに対し、グーグルは今年初めからGeminiを本格展開している。日本語でももう使える。
そのため、「先行有利を生かして敵陣へと乗り込んだ」的なイメージを持つ人もいるようだ。 ただ、それはちょっと大げさに考えすぎだ。 グーグルは以前より、iPhoneの上で「Googleアプリ」を展開している。Androidで提供している検索やウェブ記事のキュレーションなどの機能が使えるのだが、実はこちらでも、Geminiやその前身であるBardが使えた。iPhone向けのGeminiアプリは、それら「iPhone向けのグーグル製アプリ」の1つでしかなく、提供は既定路線だ。
各スマホOSのうえでは、OSプラットフォーマーの提供する機能が強い。iPhoneならアップルの、Androidならグーグルの機能が一番多く使われる。 一方で、だからといって放置するわけにもいかない。アプリを提供し、そこを窓口にサービスを使ってもらうのは既定路線であり、今に始まったことではない。同時に、グーグルだけがやっていることでもなく、ヤフーにしろOpenAIにしろ、Perplexityにしろ、アプリ提供は普通に行われている。Geminiアプリも特別なものではなく、そんな「サービサーとしての当たり前のことをしたアプリ」にすぎない……というのが実情だろう。
■「iPhoneからのAI連携」競争で先をいくOpenAI ただ、アップルとグーグルの間には特別な関係があるのも事実だ。アップルのウェブブラウザーであるSafariでは、検索エンジンとしてグーグルを標準設定としている。そこには金銭授受を伴う契約が存在する。「スマホからの検索トラフィック」を考えたとき、AndroidだけでなくiPhoneでもグーグルが主力であるには、スマホにおいて大きなシェアを持つアップルとの関係が極めて重要なものであるのは間違いない。