日本と韓国は「#MeToo」運動でどう変わった? 女性の権利が向上、一方で激しい「バックラッシュ」も
日本と韓国に共通する課題の一つが、男女平等だ。 【写真】とても先進国とは…日本「世界最底辺」の格差
スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムによる「男女格差報告」が、各国の男女平等を評価して算出している「ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数」の2023年版では、調査対象となった146カ国のうち、韓国は105位、日本は過去最低の125位と、いずれも低い水準にある。 そうした社会のあり方に女性たちが声を上げたのが、2017年の「#MeToo」運動だった。性被害の告発が相次ぎ、女性の権利向上を求めるフェミニズム運動が盛り上がりを見せた。それから6年。「#MeToo」運動によって、日韓の社会はどう変化したのだろうか。運動の当事者や支えてきた日韓の女性たちに話を聞いた(敬称略、共同通信=佐藤大介) ▽日本:変わらない「社内の根幹」 「#MeToo」運動は、米映画界の大物プロデューサーによるセクハラ問題が2017年に報じられたのを機に、女性たちが性被害に立ち向かう合い言葉として、世界的に広がった。
日本で中心的な役割を担ったのが、ジャーナリストの伊藤詩織だ。伊藤は2017年に自らが受けた性被害を実名で訴え、共感と支援の輪が広がり、日本での「#MeToo運動」の機運を高めた。 「メディアの扱い方を含めて性被害に対する社会の認識が変わり、経験を語れる雰囲気ができたことは大きい」。伊藤は、この間の変化をそう振り返る。 だが、ジャニーズ事務所(当時)創業者のジャニー喜多川(2019年死去)による性加害の問題では、多くの国内メディアが沈黙してきたことも批判を浴びた。英BBC放送のドキュメンタリー番組をきっかけに、問題追及の動きが本格化したことからも、伊藤は「海外の圧力がないと変わらない現実に、社会の根幹は変わっていないと実感した」と話す。 伊藤は告発後、インターネット上で「売名」「ハニートラップ」といった攻撃を受けた。被害者を再び傷つける「セカンドレイプ」をなくすために民事訴訟を起こし、投稿者側への賠償命令も出ているが、今も「交流サイト(SNS)などを見るのに恐怖を感じる」という。