日本と韓国は「#MeToo」運動でどう変わった? 女性の権利が向上、一方で激しい「バックラッシュ」も
韓国は#MeToo運動が急速に拡大したが、2020年に朴元淳ソウル市長(当時)がセクハラ被害を訴えられた後に自殺したことで、雰囲気が変わった。被害を訴えた女性への批判も起き、そうした動きを保守陣営が利用することで、フェミニズムに対する反動が大きくなったと言える。 尹錫悦政権はフェミニズムに後ろ向きの姿勢で、そこに乗っかって20代~30代の男性は反動を強める。中高年の男性も、これまでの社会の仕組みを積極的に変えたくなく、静かに便乗する。若者世代を中心とした男女の分断によって、韓国の政治や社会は先行きが一層読めなくなっている。 #MeToo運動やフェミニズムが訴えてきたのは、社会的少数者や弱者の権利が守られる社会への変革である。日韓が男女格差で国際的に低い水準にあるのは、これまでのシステムの中で力を持った男性たちが、ジェンダー平等に否定的なことによる。だが、人権意識が欠如したままでは世界に取り残されてしまう。
韓国は政権によって政策が大きく変わる。日本はスピードは緩やかだが、若い世代が確実に社会を変えてきている。日韓がジェンダーの問題で互いに影響を与え、前に進むことが重要だ」 × × シン・キヨン 1969年韓国・釜山生まれ。専門はジェンダーと政治。米ワシントン大で博士号。女性の政治リーダーを養成する一般社団法人「パリテ・アカデミー」共同代表