日清食品カップヌードルがブランド国内首位 奇抜CMに精緻な分析
日清食品の「カップヌードル」が、日経BPコンサルティングの実施するブランド価値調査「ブランド・ジャパン2024」(BJ2024)の一般生活者編で4位に入った。今回もGoogleなど海外発のネット系ブランドが3位までを独占して強さを見せつけた中、国内ブランドのトップに立ったのがカップヌードルだ。カップヌードルはブランド・ジャパンでは上位ランキングの常連。とはいえ、これまでの最高はBJ2017の5位。BJ2024で同ブランドの過去最高を更新した。 【関連画像】日清食品の「カップヌードル」が、ブランド価値調査「ブランド・ジャパン2024」(BJ2024)の一般生活者編で4位に入った。調査は2023年11月8日から11月27日の間にインターネット利用者に対して実施した ●ランキング上昇の要因は「際立った個性」 ブランド・ジャパンの一般生活者編では、16項目の印象がそのブランドに当てはまるかを調べ、その印象を「フレンドリー(親近性)」「コンビニエント(利便性)」「アウトスタンディング(卓越性)」「イノベーティブ(革新性)」の4つに分類して、全体の傾向を見ている。 カップヌードルで4因子を示すレーダーチャートを見ると、フレンドリーが高いブランドであることが分かる。他の3因子も高いが、その中で前回との差を見るとアウトスタンディングが伸びている。カップヌードルの総合評価が伸びた要因は、アウトスタンディングの評価が高まったためだと分かる。アウトスタンディングの中でも特に伸びたのは「際立った個性がある」の要素だ。
カップ麺から遠い健康志向の人や女性を開拓
では、23年のカップヌードルはどのように際立った個性を発信していたのか。 「カップヌードル PRO 高たんぱく&低糖質(以下、カップヌードル PRO)」のように健康意識の広がりに応えてタンパク質増強といった栄養強化をうたうカップ麺は極めて珍しい。またエスニック風味がポピュラーになったとはいえ、「カップヌードル シンガポール風ラクサ(以下、カップヌードル ラクサ)」のようにタイ料理のトムヤムクンなどと比べると知名度の低いラクサを採用するのも個性的だ。 カップヌードル PROはプロテインを飲んで筋力トレーニングをするような「ガチ健康重視」の層とは違うライトな健康志向を持つユーザー層を、同ラクサは女性層を広げることに成功した。いずれも、従来のカップ麺ユーザーとは異なる人たちだ。 実は、カップヌードル ラクサは15年に発売している。発売当初、女性を中心に人気となったが、それは一過性に終わってしまった。リニューアルを繰り返したものの同社が期待する販売量には達せず生産中止となった。 ところが、その直後から「復活させてほしい」という要望が殺到。その数は同社商品の中でもトップ級だったという。購買層の範囲は狭かったが、「あの味が忘れられない」と、コアなファンの心はがっちりつかんでいたのだ。そこでパッケージを変えたり、商品の打ち出しを変えたりして購買層の範囲を広げやすい工夫をした上で、23年4月に復活させた。改良を積み重ねた結果、女性層に広く受け入れられる商品として定着することに成功した。 ●テレビCMとSNSで好循環生む 「ラ・ラ・ラ・ラクサ食べて ハマるから」。リズムのよいメロディーに乗って女性が語りかけてくる。この春から流れ始めたカップヌードル ラクサのテレビCMだ。TikTok(ティックトック)で総再生回数が5億回を超えた音楽プロジェクトMAISONdesの楽曲「けーたいみしてよ」が元歌となっている。 日清食品は、SNS上の人気コンテンツと連携したCMで口コミを増やし、中心顧客の認知度を高めることに力を入れている。テレビCMで火を付け、SNSで口コミを広げて好循環をつくるという仕組みも、「フレンドリー」「アウトスタンディング」の高評価に貢献していそうだ。