写真で見る 歴代の米国大統領専用車 極厚防弾ガラスに超強力エンジン、最高レベルのセキュリティ
85年の歴史を振り返る
ホワイトハウスやエアフォース・ワンに次いで、米国大統領にまつわるものといえば、やはり彼らが乗る黒いリムジンだろう。 米国の大統領専用車は「プレジデンシャル・ステートカー(Presidential State Car)」と呼ばれ、初代の誕生から今年で85年を迎える。去る11月5日火曜日、大統領選の投開票が行われ、第47代大統領が選出された。そこで今回は大統領専用車の歴史を振り返り、長年にわたって「世界で最も権力のある人物」を乗せてきたクルマを一緒に見ていこう。
リンカーン・サンシャイン・スペシャル(1939年)
大統領専用車として使用された最初のクルマは、フランクリン・ルーズベルト大統領が乗っていたリンカーン・サンシャイン・スペシャルだ。独自の個性を獲得した最初の大統領専用車と言われており、シークレットサービスの仕様に合わせて作られた最初の公用車でもある。 リンカーンの高級車Kシリーズをベースにした特注のコンバーチブルで、ルーフを開放できることから「サンシャイン・スペシャル」と呼ばれるようになった。専用車への改造はニューヨーク州バッファローのブルン&カンパニー社が行った。 リンカーンの6.8L V12エンジン「Lヘッド」を搭載し、最高出力150psを発生する。当初、同車にはセキュリティ機能は装備されていなかったが、1941年12月7日に起きた日本軍による真珠湾攻撃の後、装甲ドア、防弾タイヤ、1インチ厚の窓、銃器用の収納コンパートメントが追加された。 1945年4月のルーズベルトの死後、同車は新大統領ハリー・トルーマンが使用した。1948年に現役を引退し、現在はミシガン州ディアボーンのヘンリー・フォード博物館に展示されている。
リンカーン・カスタム(1942年)
リンカーン・カスタムはロングホイールベースのセダンで、ルーズベルトやトルーマンが使用した。サンシャイン・スペシャルのようにパレードや集会で大統領の姿を見せることができないハードトップ・セダンであったため、大統領の間ではあまり人気がなかった。最高出力120psを発生する4.8L V12エンジンを搭載している。