写真で見る 歴代の米国大統領専用車 極厚防弾ガラスに超強力エンジン、最高レベルのセキュリティ
キャデラック「キャデラック・ワン」(2009年)
バラク・オバマ大統領のキャデラックDTSは極秘扱いにされ、現在でも燃料の種類やエンジン排気量については誰も知らない。噂によると、大型トラック用の大排気量ディーゼルが使われているという。 いくつかの詳細が判明している。厚さ8インチの装甲、5インチの防弾固定ガラス、爆発を防ぐために発泡スチロールで満たされた装甲燃料タンク、一般的に中型・大型トラックに見られるランフラットタイヤ、化学兵器による攻撃に備えて完全に密閉された車内などだ。 暗視装置、ポンプアクション式ショットガン、催涙ガス発射装置、マルチスペクトル赤外線スモークグレネードも装備されており、ロケットランチャーで武装しているという噂もある。「ビースト」の車重は1万5000ポンドから2万ポンド(6800kgから9100kg)と推測され、その重さのために最高速度は100km/h程度しか出せないようだ。 燃費? 米『Autoweek』誌は、1ガロンあたり3.7マイル(1リッターあたり1.5km)と推測している。長距離移動に使用されることは滅多にないので、問題はなさそうだ。シークレットサービスは長距離移動にはヘリコプターの「マリーンワン(海兵隊機で使われるコールサイン)」を好んで使用する。
キャデラック「キャデラック・ワン」(2018年)
最新の大統領専用車は、またしてもキャデラックだ。ドナルド・トランプ大統領は、2018年9月のニューヨーク訪問まで、旧型のキャデラック・ワンを使い続けていた。新型の「ビースト」は、現行のキャデラック車に沿ったデザイン要素を備えているものの、オバマ大統領が使用していた旧型に似ている。 GMのトラック用プラットフォームをベースにしており、装甲と安全装備の重量を支えている。2021年に就任したバイデン大統領も同車を使い続けた。 仕様の詳細についてはシークレットサービスによって伏せられているが、銃撃だけでなく、手榴弾や地雷からも大統領の安全を守るため、あらゆるセキュリティと安全装備がアップデートされていると考えられる。現在では通常、2台の同一車両(ナンバープレートも同じ)が同時に運行され、どちらに大統領が乗っているかわからないようになっている。
AUTOCAR UK(執筆) 林汰久也(翻訳)