「寿命半分」を掲げた電車、登場30年超で〝再就職〟できる秘訣は? JR東日本209系、置き換え用車両も判明 【鉄道なにコレ!?】第68回
209系は京浜東北線・根岸線で2010年まで運用され、現在も両路線で使われているステンレス製電車のE233系に置き換えられた。玉突きで209系の多くは09年から房総地区へ順次転属し、房総地区で走っていた国鉄時代製造の鋼鉄製車両の113系は廃車となった。 209系は房総地区へ移る際に1編成当たり10両だったのを6両または4両に短縮し、床下の制御装置を更新。一部の車両には壁沿いに座るロングシートを乗客同士が向かい合って座るクロスシートへと交換し、長時間の運行にも対応できるようにトイレを設置した。スカイブルー色だった車体の帯も、黄色と青色のツートーンに張り替えられた。 ▽伊豆急が目を付けた理由 転属先の房総地区で活躍してきた209系も徐々に交代時期を迎え、目を付けたのが伊豆急だ。209系が重量半分を掲げて軽量化したステンレス製車体を採用し、省エネルギー化したことなどを評価した。 東急グループの伊豆急は、東急電鉄のステンレス製車両8000系を2004~08年度に譲り受けたものの老朽化している。関係者は「209系に置き換えることで更新でき、消費電力量も大幅に低減できる」と指摘する。
伊豆急は相模湾の近くを走っており、海風に当たるため209系がさびにくいステンレス製車体なのも好都合だ。さらに、伊豆急の多くの電車はJR東日本伊東線に乗り入れて熱海駅(静岡県熱海市)まで直通運転しているため「JR東日本の運転士らが操作しやすい電車を導入する狙いもあった」(元伊豆急幹部)という。 伊豆急は209系を買い取って改造した3000系の4両編成、2編成を2022年4月から運行している。車体にアロハシャツのような装飾を施しており、「アロハ電車」の愛称が付けられた。 関係筋によると、JR東日本が房総地区で走らせる209系を伊豆急に今後追加で譲渡し、8000系の置き換えを進める計画だ。 ▽房総地区の209系を置き換える後釜とは… JR東日本が房総地区の209系を置き換える車両は、線区によって異なる。利用者が比較的少ない千葉県の房総半島南部の内房線木更津(木更津市)―安房鴨川(鴨川市)間や外房線上総一ノ宮(一宮町)―安房鴨川間などでは、新造した2両編成のステンレス製車両E131系の営業運転を2021年3月に始めた。