コウゾの木を活用し杖に 福知山城天守閣の登城の際にと「善意の杖」50本贈る 丹後二俣紙保存会
京都府福知山市の丹後二俣紙保存会は27日、内記一丁目の福知山城天守閣の登城の際に使う「善意の杖」50本を市に寄贈した。和紙の原料となるコウゾの木を活用した杖で、登城坂入り口付近に置き、来城者に使ってもらっている。 保存会の田中敏弘会長(63)は市内で唯一、手漉きの丹後二俣紙(丹後和紙)作りをしていて、町内の2カ所でコウゾを栽培。はがしたコウゾの表皮の繊維質の部分を原料にしている。 表皮をはいだ木は、廃棄したり、クラフト用や燃料として使ってきたが、保存会の活動として、福知山城を訪れる観光客らの一助になればと、杖としての寄贈を思い立った。 杖は約90センチの長さに切りそろえ、表面にかび防止の専用塗料を塗り、所どころに焼きを入れて見栄え良くした。杖と一緒に杖立ても贈った。 27日は登城坂入り口で贈呈式があり、保存会からは田中会長と中島明副会長(74)が出席して、市文化・スポーツ振興課の井上郷太郎課長(52)に杖を手渡した。 登城坂の延長は約130メートルで、勾配は平均15度ある。田中会長は「登城坂はお年寄りにとっては登るのがきつい坂なので、丈夫で軽い杖をどんどん使ってほしい」と言う。 福知山城天守閣の横山晋館長(63)は「城には家族連れも多く来られるので、杖を使って登り、天守閣からの眺めを楽しんでもらえたら」と話している。